最近は無舗装道(地道)は極めて珍しい。農道でさえ舗装されている。
そんな中で延長90キロ近くも悪路が続いているのが四国のやや東の中央部に東西に走っている剣山スーパー林道である。
林道であるから森林事業のために作られたものだが、オフロードバイクやオフロードカーの雑誌などで日本最長の悪路と
紹介され、悪路マニアのメッカのようになっている。
インターネットで調べるとバイクでのツーリング記録は極めて多く、自転車で踏破したという記録まで掲載されているが、
乗用車での走破記録はあまり見つからない。
乗用車の場合、タイヤがバーストして、タイヤが外れそうになった画像が載っていたし、ミッションが故障して山の下まで
歩いて降りて救助を求めたというような話も紹介されていた。
今回はマーチ・スーパーターボで走破を試みた。
● 剣山スーパー林道
● ドライブの準備
● ドライビング
● 剣山スーパー林道のアクセス
● 上勝町から旭丸峠
角屋橋を越えて深い谷底に沿って走ると民家が途切れたあたりから道は一段と狭くなるものの舗装が続いていて意外で
ここが標高1232mの旭丸峠(北緯33度55分59秒,東経134度19分26秒)で、標識がある。
● 旭丸峠から土須峠
旭丸峠から1.6キロの地点に北方を望む良い展望の場所がある。落石の多い悪路と悪戦苦闘して5キロ余り走ると
● 土須峠から剣山トンネル
ここからが剣山スーパー林道の西のステージとなる。
さらに3キロ走ると「徳島のヘソ」という看板のある展望場所に至る。ここは南東の展望が良い。
そこからやや上りになり建設省高城山レーダー雨量観測所(1632m)が上に見える。
道の南側に広い広場があり、南側の展望が良い。広場の南端まで行くと南斜面が見え、「風の広場」という名前の通りに
ここから1キロでスーパー林道の最高地点となり、さらに2キロ余り走行すると川成峠の標識がある。
山の家奥槍戸でも食事が出来るということであったが、ここも閉まっていた。
● 剣山トンネルから平橋
下るに従い雑木林になり、展望が悪くなる。ほぼ下りきって谷川に沿ってしばらく走ると「高の瀬峡」(北緯33度47分22秒,東経134度4分45秒)になり
剣山スーパー林道入り口からここまでの累計距離が実測で88キロだった。休憩を入れた所要時間は約5時間だった。
● 剣山スーパー林道の走破後
なはりホテルの支配人が、「当ホテルは、決して格式の高いホテルではございません」と自認しているように、
国道193号線をさらに走り道路のすぐ横にある大轟の滝(おおとどろきのたき)(北緯33度51分40秒,東経134度16分38秒)
大釜の滝は道路の脇にあるが急な階段を下らないと見えない。
● データ
○剣山スーパー林道に関する情報で参考になるサイト
●コメントなどはこちらへメールでお寄せ下さい。
徳島県勝浦郡上勝町角屋から登り、四国東部の標高1300メートルから最高地点は標高1500メートルあたりの山の頂上に
近い山腹や尾根を縫いながら剣山の南斜面を経て徳島県那賀郡那賀町木頭まで90キロ近い距離を走る林道ルートで、
ごく一部に舗装部分があるものの、ほとんどはガラガラの悪路である。
このページの画像ではマーチが舗装部分に停車している画像が多いが、これはスーパー林道の始点、終点、そして、
旭丸峠、土須峠、ファガスの森、山の家奥槍戸だけが、部分的に舗装されているからで、この画像から甘くみては
いけない。
隆起した山脈のためか、崩れやすい岩が多く、路面は全線ほとんどがガレ場のようになっている。
大きな穴や、水の流れによる路面の崩れなどは比較的少ないので、フラットといえばフラットであるが、路面は角のある
小石から中サイズの石で覆われており、タイヤに非常に過酷な条件である。
落石や土砂崩れの場所が極めて多く、非常に危険なルートである。ときには直径50センチほどの岩が路面に転がって
いるし、赤ん坊の頭くらいの大きさの石はあちらこちらに転がっている。
岩の性質から角が尖っているものが多く、タイヤを当てるとバーストの危険もある。
転落しそうな危険な場所もあるが、それよりも全線を通じて落石に直撃されたり、路面崩落の危険度が高い林道である。
落石やがけ崩れでガードレールが破損している場所も多い。
落石にあわないように天候の悪いときには走行を控えたい。
林道の谷側にはほとんど高い木が無いので、見晴らしは全線にわたって良好である。
言い換えると転落したときには、ひっかかる木も余りないので落下のダメージも大きいという事になる。
路上にいる限りは大丈夫だが、撮影のために路肩や、崖の縁に寄るときには足元が滑って墜落しないよう注意が必要。
「クマが出没するので注意」という看板もあり、途中で休憩やキャンプするときには注意が必要である。
自動車で走行する場合、エンジンに負担がかかるために水温が上がりやすい。さらに、高度が高いために沸点が
下がることもありオーバーヒートに注意が必要。
マーチ・スーパーターボの場合、水温計は100度まで上昇し、停止時にラジエーターかエンジン近辺からゴボゴボと
沸騰している音が聞こえた。
エンジントラブルなど重大なトラブルを起こしてもサービスを呼ぶなどということは不可能に近いから自分で修理するつもりで
十分な準備と覚悟が必要である。
なお、「ファガスの森」と「山の家奥槍戸」では食事も出来ると聞いたが、走行したときにはどちらも閉まっていたので
これらの場所での食事はアテにせず、事前に弁当を準備していくべきである。
トイレはこの2か所にある。特に「ファガスの森」のトイレは清掃が行き届いている。
最低の装備としてタイヤはラリータイヤを装備したい。
扁平タイヤなどでは岩がリムに当たりタイヤやリムを傷めるし、扁平なためにクッション効果も少ないので山岳悪路の
走行は無理である。
スペアタイヤを予備に1本積み込んだ。ガレ場の多いコースなのでパンクを覚悟する必要があり、予備のスペアタイヤは
必須である。
事前にオイル、冷却水、空気圧、ベルトなどの点検が必要である。特にパンクの恐れが高いので、スペアタイヤの
空気圧の点検を忘れないようにしよう。
工具のほかにオイルや水、予備のガソリン、非常食なども準備したい。
路面が悪いところが多く、時速20キロ程度で走る部分が多い。瞬間的に40キロ程度の速度を出せる部分もあるが、
そのような部分は極めて少ない。
ラリー式に走行すれば、もうすこし速度を上げることも可能だが、そのような走行をすると、車体が浮くような
走法をする必要があり、コースアウトの危険が高まるし、タイヤがバーストしたりサイドカットするリスクが増える。
またパワーを無理にかけるとタイヤの空転が増え、タイヤがかき上げた岩や石で、車の下部を傷める恐れがある。
そのようなことを考えると剣山スーパー林道では時速20キロがせいぜいといえる。
割れた岩の小片で路面が覆われている部分が多いので、轍は余りできていないが、それでもかすかに轍が出来ている。
轍の底には硬い石や岩の突起が出ており、やや小さな石で轍が形成されている。
轍の底にタイヤを乗せて走ると、安定はするが、岩の突起でショックが大きく、バーストの恐れもある。
轍の山に乗ると滑りやすいので、一番良いのはコーナーでは外側のタイヤのショルダーを轍の肩に当てて走るような
つもりでコースを取ると振動も少なく走りやすい。
ガレ場のような路面だから比較的ブレーキも効くが、岩の割れたものが細かい部分だとジャリ道と同様にブレーキが
効きにくいので注意が必要。
落石の小さなものは跨いでも良いが、跨いだ場合には車の腹を打つ恐れもあるので基本的には落石の位置が車両の
外側になるようにコースを取ろう。
コーナーにはほとんどカーブミラーが装備されているので、対向車にこちらの存在を早めに知らせるためにライトの
点灯は必須である。
休日などで対向車が多いときにはクラクションも使おう。
通常は鳴門インターから徳島市を経て、市内南側の勝浦川に沿って上り、勝浦町を通り、上勝町の剣山スーパー林道の起点に行く。
鳴門インターから約50キロ、所要時間は時間帯によるが約90分である。
那賀町木頭の西の基点(平橋)に直接入るのは難しいが、高知から国道195号線(土佐中街道)で、約60キロ、約80分である。
徳島県勝浦郡上勝町で右折して橋を渡り1キロ進むと角屋橋(北緯33度53分45秒,東経134度23分55秒)があり、
剣山スーパー林道入り口の標識があり、ここが剣山スーパー林道の起点である。
あるが、9キロ余り進むと舗装がなくなりダートが始まる。
谷川に沿ってゆっくりとガラガラ道を登っていくとだんだん森が薄くなり、高度が上がっているのが実感できる。
谷川から離れてツヅラ折れを登ると、突然舗装部分に出て左側の切通しを通して山の北側に展望が開ける。
ツヅラ折れの途中で、登ってきた道を振り返って撮影すると良い。
剣山スーパー林道入り口の角屋橋からここまで18キロ、所要時間は45分。
左に曲がるとスーパー林道の続きであるが、直進すると野間殿川内林道で、神山町の寄井へ続く。
旭丸峠からは尾根を縫うように走るので、北側や南側の展望が開ける。
南側には今登ってきた深い谷と道路が見える。画像では迫力がないが実際は目もくらむような急な谷で足元から崖になっている。
雲早山(くもそうやま)名水があり、その1キロ近く先に登山口がある。
さらに2キロ走ると、突然舗装路に出る。ここが国道193号線の土須峠で雲早トンネルの入り口(北緯33度54分51秒,東経134度16分41秒)である。
ここまでが剣山スーパー林道の東のステージ。
旭丸峠から土須峠までが7.3キロ、実際は休憩や撮影などを含めて40分ほど掛かったが実走行時間は20分ほど。
剣山スーパー林道入口からここまで25.4キロ。
雲早(くもそう)トンネルの入り口を右に見ながら国道193号線を左に1キロ余り下ると、三叉路(北緯33度54分33秒,東経134度16分12秒)があり、
剣山スーパー林道の標識がある。右に曲がりやや上りのコースを取る。
南側の見晴らしは良いが落石の多い悪路を6キロ余り走ると「ファガスの森」。ここでは食事が出来ると聞いていたが、当日は閉店していた。
鳴門大橋が見えると聞いたので双眼鏡で見ると点滅するライトが確認できた。空気が澄んだ日なら肉眼で見えるかも知れない。
4キロ近く走ると「風の広場」(北緯33度53分20秒,東経134度13分23秒)に着く。
谷底から強い風が吹き上げている。天気によるだろうが、台風より強いような風で直立が困難なほどである。
路面は悪く岩が崩れている場所も多い。
(標高1318m, 北緯33度53分3秒,東経134度12分0秒)
川成峠からしばらく上りになる。突然目の前に小鹿が出てきて車の前を走るので小鹿を追うような形で走ることになった。
それから谷川(槍戸川)まで下る。(北緯33度49分57秒,東経134度6分21秒)川を渡って再び上りになり、ガラガラ道と
格闘して、上りきったところが「山の家奥槍戸」(北緯33度50分3秒,東経134度5分11秒)である。
山の家奥槍戸のすぐ左手に剣山トンネルが見える。川成峠からここまで27キロ。
剣山スーパー林道の西のステージに入ってから43.8キロで休憩を含めて2時間30分。
剣山スーパー林道入口(上勝町起点)からここまでの累計が70.5キロで休憩をいれて、4時間ほどかかっている。
トンネルの横の看板によると、ここから剣山スーパー林道の東端(上勝町起点)まで71キロで2時間55分、また、ここからから
剣山スーパー林道の西端(木頭町終点)まで18キロ50分と記載した看板があったが、これはおそらく相当早いオフロードバイク
による所要時間だろう。
もしこの時間で四輪で走りきるとしたらかなり早いペースで、相当無理をしないと走りきれないだろうし、景色を楽しむゆとりも
ないに違いない。
狭く真っ暗な剣山トンネルを抜けると下りになる。
路面は相変わらず悪く、落石が多い。部分的にはかなり道幅が広い部分もある。
展望所がある。
紅葉の季節に訪れると良い場所であろうが離合困難なので紅葉の時期は動きがとれないだろうと思う。
高の瀬峡から舗装路になる。
さらに進み、平橋を渡った突き当たりが国道193号線であり、ここが剣山スーパー林道の西の端(木頭町終点)
(北緯33度46分21秒,東経134度5分5秒)である。
剣山トンネルからここまでが17キロ余りである。ここにはクマに注意の看板がある。クマに遭遇しなくて良かった。
週日だったせいもあるが対向車は極めて少なく、四輪が5台と、バイクが2台のみだった。同じ方向に走っていたのはわずか
1台の軽自動車だけで、工事中の作業者数人の他は途中のいかなる場所でも駐車中の車や人は全くみかけなかった。
全線を通じて岩や岩の崩れた小石の路面であり、土の路面はほとんど無いので埃はあまりたたないが、岩の微粉が非常に
細かい埃になって車のリアウインドウに付着した。
なお、携帯電話の通話可能区間であるがauの場合、東の区間(旭丸峠から土須峠)はほとんど通話可能であったが、
西の区間(土須峠から剣山トンネル)ではほとんど通話が不能であった。
国道193号線で四つ足峠トンネルを抜け、べふ峡温泉を通り、快調に走り、国道55号線に出て、高知湾に沿って走り、
奈半利のホテルで宿泊し、海の幸を堪能した。
決して豪華なホテルではないが、清潔度、サービス、食事の質が良く、露天風呂もあり、宿泊費を考えると非常に
お値打ちなホテルだった。
翌日は国道55号線で室戸岬を通り、海陽町から国道193号線を経て北に向かい土佐中街道で山に入り、再び雲早(くもそう)
トンネルで土須峠を越えようとしたが、国道193号線が途中で通行止めになっているという情報を得て、ルートを変更、
国道55号線をさらに東に進み、日和佐から県道19号線に入り、国道195号線を経て国道193号線に入った。
国道193号線は掛盤というところから極めて狭くなる。
国道193号線は通行止め区間の他にも土砂崩れで工事をしている区間(大轟の滝と大釜の滝の間)があったが、
通り過ぎてから振り返ると、大きく崩れた場所が目に入って驚いた。
(左の画像)と日本百名滝のひとつである大釜の滝(北緯33度52分54秒,東経134度16分56秒)(右の画像)を
見たが、大轟の滝はガードレールから直接その豪快な姿を見ることが出来て感激した。
さらに国道193号線を北に向かい、雲早トンネルを抜けて土須峠を通過した。
剣山スーパー林道を走る場合、東から西、あるいはその逆に単に走り抜けるのではなく、途中で土須峠から南に下りて
是非とも大釜の滝と大轟の滝を見るべきである。
国道193号線は全線舗装であるが、滝から土須峠に至る部分も非常に狭く、土須峠を北に下ると極めて狭い部分と急な
カーブがあり、これが国道とは信じられないような道路である。交通量は極めて少なく100キロほど走行する間にすれ違ったのは
わずか数台であった。
○車両
マーチ・スーパーターボ
サスペンション アブソーバー ニスモ製 スプリングはノーマル
アンダーガード無し
タイヤ BS POTENZA RE43R ラリー用 175/70-13
空気圧 フロント2kg/平方cm リア1.7kg/平方cm
ラリーコンピューター JX−555
トリップメーター MAP TWIN およびSUB-TORI
○走行日: 2007年6月13日(火曜日) 天気: 晴れ 気温: 27度から20度
○燃費: 13.7km/l 国道走行分も含む
○携行品:
追加のスペアタイヤ
プラスおよびマイナスドライバー 各大小
コンビレンチ 8ミリ、10ミリ、12ミリ、14ミリ
ソケットレンチ セット
メガネレンチ 14×17
ホイールレンチ
ウォーターポンププライヤー
ニッパー
ガムテープ
針金
超・剣山スーパー林道http://www2g.biglobe.ne.jp/~yosy/tsurugi/
非常に参考になる情報が多いサイトであるが、剣山スーパー林道の始まりの地点の角屋橋が魚屋橋と誤記されている。
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