SUキャブレター(SUキャブレーター)の調整方法
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1960年代後半から日本ではスポーツ・タイプのモデルにフロアシフトの4速ミッションとともにSU(横向き通風式可変ベンチュリー)キャブレターが搭載されるようになった。
なお、caburetorだが、日本ではキャブレターと記載される場合が多いが、実際にはキャブレーターと発音する人が多い。他に、カービュレター、カーブレータ、などいろいろな表現がある。
スポーツ・タイプのモデルにSUキャブレターが装着されたのは、機構が単純で、低速から高速まで高性能と燃費がバランスしている点を考慮したのだろうと思われる。
歴史的に英国車にはSUキャブレターが汎用されたが、日本ではあまりなじみがなく、調整方法の拙さから十分性能が発揮できないために嫌われた面もあるが、コツをつかめばフローメーターだけで簡単に調整が可能であり、走行性能と好燃費のバランスしたすばらしいキャブレターである。
しかしながら排気ガス対策や燃料噴射の普及により今では旧車にその存在を見るだけになった。


チェリー(KPE10)の場合は日立製のSUのキャブレターをツイン(ニ個一対)にして搭載している。左右のキャブレターは同一だが、配置上の都合でフロート・チャンバーとリンクの取り付け位置が逆になっている。図ではフロントとリヤのキャブと記載してあるが、これはFR車であるサニーに搭載したキャブレターの図を使用したからである。
チェリーのSUキャブレターは日立製で、口径(ガス弁)38ミリ,ピストンの最大リフト量29ミリ,ノズル径2.34ミリ,ジェット・ニードルM−75,ダンパー・オイル10W−30である。

構造の概略と特長
SU型のキャブレターは横向き通風式可変ベンチュリー型、あるいは定流速型キャブレターと呼ばれ、横向きのスロットル・チャンバーを吸気圧によって上下に摺動するピストンの動きにより、ベンチュリーの開口部の面積が変化し、どのような負荷/回転状況においてもベンチュリー部の圧力と空気の流速がほぼ一定になるように設定されている。
ベンチュリーを構成しているピストンにテーパー状のジェットニードルが取り付けられており、負荷が大きい高回転時には負圧によりピストンが上昇し、吸入空気量が多くなる。ベンチュリーを構成しているピストンが上昇するためにジェットニードルが引き上げられるが、ニードルがテーパー状であるためにジェットノズルから流出するガソリンの量も増加する。
このようにして開口部(ベンチュリー)に応じた量の燃料を供給する仕組みで、低回転から高回転/低負荷から高負荷まで対応するようになっている。
始動時にはチョークレバーを引くと、強制的にジェットノズルを引き下げることによって濃い燃料が供給される仕組みになっている。

左はチェリーの日立製SUキャブ、右はブルーバード510SSSの日立製SUキャブの分解図である。

特長は
燃料調整機構が単純であり、故障が少ないこと。
低速から高速までスムーズな混合気が供給され、低速から高速まで滑らかに移行すること。
低速時でもベンチュリー部の流速が早く、燃料の気化特性が良いこと。
高速時にはベンチュリーが大きく開くために吸入抵抗が低いこと。
燃費が良いこと。

不調(トラブル)の原因は
同調が取れていないこと。つまり、連装してあるキャブの流量バランス(吸入空気量)が違うこと。これがほとんどの不調の原因である。
SU型のキャブレターでは始動性が悪いことがあるが、始動性が悪い場合はほとんどの場合チョークの機構に問題がある。
チョーク機構が正常に働いていないと、始動時に混合気が薄すぎて始動しない。
夏は始動性が良好だったのに特に寒冷時期になって始動しないのはチョーク機構の不具合があることを示している。また、最初の始動が不良なのに、何とかエンジンが掛かり、一旦エンジンが温まると再始動に問題がないときもチョークの不具合である。
普通のチョークは空気の流入口を閉じて吸入空気を減らす方式が多いが、SUの場合は吸入空気を減らすと、吸い込む燃料も減るので始動には役立たない。始動時のみ強制的にジェットノズルを引き下げる方式のチョーク機構で濃い燃料が供給されるようにしないと始動しない。
またハーレーなどのSU装着のオートバイで寒冷時の始動が不良なのは、始動時に濃い燃料が供給されないからで、ハーレーなどはティクラー(コチョコチョとクスグルという意味)という押しボタンを使って始動する。これは強制的にフロートを押し下げて燃料を軽くオーバーフローさせ、結果的に燃料を濃くして始動しやすくするもので、何度も押すと本当にオーバーフローしてエンジンがますます掛からなくなるので、その車両のクセを見つけることが重要である。
次に多いトラブルは燃料の濃さの調整が拙いこと。つまり、アイドル・アジャスト・ナットの調整不良。
稀ではあるが、フロートレベルが不適切であること。これはいろいろな本にフロートレベルの調整について記述があり、フロートの調整が必要だと勘違いしてフロートを分解して、レベルを調整したつもりがかえって調整を狂わせてしまっているということが多い。
フロートが破損して浮力が変化したり、ニードルバルブが磨耗しない限り、フロートレベルが狂うことは無いので不用意にフロートを分解しないこと。
フロートを分解するときにはフロートのヒンジのピンが脱落して紛失しやすいので注意すること。
キャブレターを不用意に分解してチャンバーとピストンの組み付け不良でピストンがスムースに動かないSUキャブもある。中古車の場合、素人が雑に分解したために不調になっている場合も多い。英国車の場合、チャンバーの合いマークが狂っていないかチェックすること。
長期エンジンをしないで放置しておいたSUキャブで始動しないときには、フロートがフロート室で固着していたり、弁が固着していることがあるので分解して調べる。旧い車の場合は真鍮で造られたフロートが破損して浮力がなくなっている場合もある。

調整方法
日立製SUキャブであれ、英国のSUキャブであれ調整方法は基本的に同じであるが、連装式のSUキャブの調整のためにはフロー・メーター(空気流量計)は必需品である。
ミニやハーレーなどの単装のSUキャブの場合はフロー・メーターは不要で「@調整の前準備」と「Cキャブの燃料の濃度調節」のみでよい。
プロはマノメーター(水銀柱圧力計)を利用して負圧を調べて調整するところもあるが、普通はフロー・メーター(キャブレター・バランサー)を使用して複数のキャブの吸入空気量を等しくする。
いろいろな形式のフロー・メーターが数千円で購入できる。購入するなら吸入抵抗が少ないものが良い。
フロー・メーター無しに連装のSUキャブを調整するのは不可能に近い。
ここでは日立製SUキャブをモデルに調整方法を説明する。
手順は
@リンクを切り離し、複数のキャブを独立させ、その状態でとりあえずエンジンを始動できるような状態にする。
A複数のSUキャブの吸入空気量を同じにする(同調を取る)
Bそれぞれのキャブの燃料の濃度を調節し、最適の空燃比にする。
C複数のキャブのスロットルバルブが同時に作動するようにリンクさせる。
D同調が狂っていないかアイドル状態と高速状態で調べる。駄目ならAからやり直し。
という手順になる。

ここで、用語が混乱しやすいので最初に整理しておく。
スロットル・アジャスト・スクリュー : アイドル状態のスロットル・バルブの開度を調整するスクリュー(ドライバーで回す)
アイドル・アジャスト・ナット :  燃料の濃さを調整するナット(キャブの下にある)
リンク : 複数のキャブのスロットル・バルブを繋ぎ、一緒に作動させるメカニズム、通常はロッド式である
バランス・スクリュー : リンクの一部であり、複数のキャブのスロットル・バルブの開度を同じに調整するためのスクリュー
ジェット・アジャスティング・ナット : ミニなどの英国車で使われる言葉でアイドル・アジャスト・ナットと同じ意味だが、用語としてはこの方が適切だと思う。
アジャストとかアジャスティングという単語を省いて、単純にスロットル・スクリューとか、アイドル・ナット(ジェット・ナット)と呼んだ方が混乱が少ないと思われるが、日立やニッサンの説明では前記のややこしい表現が用いられている。
同調 : 複数のキャブレターのスロットル・バルブが等しく開き、吸入空気量が等しくなった状態、シンクロともいう。

@調整の前準備
まず点火プラグの状態と点火タイミングを点検する。
エンジンを十分暖気する。アイドル状態ではなく、エンジンがカブるのを防止するためにしばらく走行して暖気すると良い。
ダンパーオイルの量をチェックする。
エアークリーナーを取り外す。

Aリンクを切り離し、複数のキャブを独立させ、その状態でとりあえずエンジンを始動できるような状態にする。
リンクを「切り離す」と記載したが、実際にリンクを分解するのではなく、バランス・スクリューを緩め、複数のキャブレターのリンクが作用しない状態にする。この状態を「リンクを切り離した状態」と呼ぶ。
外気温を調べ、下記のグラフからアイドル・アジャスト・ナットの標準戻し回数を調べ、それぞれのSUキャブレターの下にあるアイドル・アジャスト・ナットをいっぱい締めた状態から標準戻し回数だけ戻す。
日立製SUキャブのアイドル・アジャスト・ナットはローレット加工されているが一箇所横に突起があり、それを目安に戻すと良い。
英国車のSUキャブの場合は、ジェット・アジャスティング・ナットと呼ぶ六角のナットであり、約2回転ほど戻すが、この日立製SUキャブのグラフの戻し回数を参考にしても良い。


エンジンを始動し、約700回転になるようにスロットル・アジャスト・スクリューを回して調節する。
チューンしたエンジンなどで700回転まで落とせない場合は、エンジンが掛かる程度の最低の回転にする。

B複数のSUキャブの吸入空気量を同じにする(同調を取る)
フロー・メーターを使用して、それぞれのキャブレーターの吸入空気量が同じで、かつ、回転数が700回転になるようにスロットル・アジャスト・スクリューを調整する。この状態を同調が取れた状態、あるいはシンクロができた状態という。
フロー・メーターは空気抵抗になるので、長時間当てておくとエンジンの調子が悪くなり、正確に調整できないので、フロー・メーターを吸入口に当てるのは数秒以内にして、吸入空気量の調整は素早く行う。もし、アイドリグ状態が3分以上続くときは空ぶかしをしてプラグがかぶらないようにしなければならない。
複数のキャブレターの吸入空気量が等しく、かつ、アイドリング回転数が700回転になったことを確認する。

Cそれぞれのキャブの燃料の濃度を調節し、最適の空燃比にする。
今度は個々のキャブレターの下にあるアイドル・アジャスト・ナットを1/4回転ずつ締め込む。
ある段階でエンジンの調子がおかしくなるので、調子が悪くなる手前で、エンジンが最も滑らかに回転するように調整する。
エンジンの回転数が上昇したら700回転になるようにスロットル・アジャスト・スクリューを緩めて調整する。
エンジンが最も滑らかに回転するようになったときのアイドル・アジャスト・スクリューの戻し回転数を記憶する。
もし、アイドル・アジャスト・ナットを1/4回転ずつ締め込んでいってもエンジンの調子が悪くなるばかりであれば、逆に1/4ずつ緩めて調子の良い位置を求める。複数のキャブレターでアイドル・アジャスト・ナットの戻し回転数に1回転程度の違いが生ずる場合もあるが、それぞれのキャブレターの調子が同様でスムースであれば良い。
片方のキャブレターの吸入口を手で抑えたときのエンジンの挙動と、別の側のキャブレターの吸入口を手で抑えたときのエンジンの挙動が同じであれば両方のキャブレターの吸入空気量と燃料の濃度がバランスしていると考えてよい。
もしCO/HCメーターを使用できるようなラッキーな環境にあれば、COとHCが適当な値になるように調整すればよい。
燃料の濃度が調節できたら、念のために、複数のSUキャブの吸入空気量が同じで狂っていないか(同調しているか)確認する。
もし、吸入空気量に差があればBに戻って同調をとる。

Dアクセルを踏んだときに複数のキャブのスロットル・バルブが同時に作動するようにリンクさせる。
バランス・スクリューをねじ込み、アクセルワイヤーを引っ張ったときに二つのキャブレターのスロットル・バルブが同時に作動(結果としてピストンが同時に上下)するようにする。
リンク・ロッドの接続部分のガタなどで複数のキャブのスロットル・バルブが同時に作動しないことがあるのでガタがないような状態で調整する。つまり、ガタを追い込んでアクセルを操作したときにその操作がダイレクトにスロットル・バルブに伝わるように調整する。
リンクが作動しない状態、つまり単体では吸入空気量が揃っている(同調が取れている) のにリンクの調整が悪いためにスロットルを操作したときに複数のキャブが同時に作動せず、吸入空気量が揃わないことがあるので、この作業は慎重に行う。

E同調が狂っていないかアイドル状態と高速状態で調べる。駄目ならBからやり直す。
スロットル・ワイヤーを引いてエンジンの回転数を約1500回転にしたときに吸入空気流量がほぼ同じになっているか調べる。アイドリング時に空気流量がほぼ等しいのに回転数を1500回転に上げたときに吸入空気量に大きな違いがあるときは、複数キャブのリンクの調整が拙いこと、つまり、リンクのガタの追い込みが不良の場合が多い。ガタが無いにもかかわらず吸入空気流量が違う場合はバランス・スクリューで調整する。
再度アイドリング状態にしたときに二つのキャブレターの吸入空気量に大きな違いを生ずる場合は最初から調整をやり直す。
何度調整してもダメな場合は、いずれかのインテークマニホールドから空気を吸い込んでいる可能性がないかをチェックする。 インテーク(インレット)マニホールドの接続部位などにオイルを垂らして調べる。漏れがある場合、そこから吸入されたオイルが燃え、白煙が出るので漏れの部位を特定できる。
試走してみて低速から高速(低回転から高回転)までスムースに吹け上がるか確認する。
エアークリーナーを外した状態では調子が良いのにエアークリーナーを装着すると調子が悪くなる場合は、エアークリーナーのフィルターが詰まったために吸入抵抗が増え、そのために吸入空気量が減少し、燃料がやや濃くなっている可能性がある。
走行時にチョークを僅かに引いて調子が良くなるような場合は燃料が希薄過ぎる証拠である。
加速時に咳き込むのは燃料が希薄すぎる。特に急にアクセルを踏み込んだときに限り咳き込むのは燃料が希薄なだけでなく、ダンパーオイルが少なくないかチェックする。

同様に3連式のSUキャブも調整できる。ミニやハーレーなど単体で使用するSUキャブは同調の調整が不要であり、燃料の濃さのみを調整すれば良い。何度調整してもアイドル時と走行時のいずれかが調子が悪い場合はニードルの特性とエンジンの特性が合っていないので、ニードルを交換するか、ニードルを加工して調整する必要がある。全体的に不調の場合はフロートも点検してレベルが合っているか確認する。
なお、後期型のチェリーから1点調整式というタイプのSUキャブレターが装着されている。この調整方法はやや違うので、またの機会に掲載したい。
SUキャブの通常のメンテナンスは調整とダンパーオイルの補充だけでよい。
しかしながらフロート・チャンバーからアイドル・アジャスト・スクリューの下に繋がり、燃料を供給しているU字型のゴム・ホースはエキゾースト・パイプからの熱に晒されて劣化しやすいので定期的に交換しなければならない。これが破損すると(クロスフローのエンジンで無い限り)燃料がエキゾースト・パイプにかかり最悪の場合は火災を引き起こす。
また、U字型のゴムホースのかわりにビニールホースを使用してはならない。やはりエキゾースト・パイプからの熱に晒されてホースが熔けたり抜けて火災を起こすことになるからである。
このホースは見えない位置にあるので劣化を見逃しやすいので注意が必要である。
SUキャブレターは単純な構造であるが、ピストンの作動とスプリングは非常にデリケートであるので、余程の自信が無い限り分解してはならない。どうしても分解しなければならないときには合いマークをつけておき、同位置で組み立てできるようにする。
ニッサンに限らず英国車など他の車種のSUキャブレターも同じ方法で調整できる。
上記のグラフに示すように、外気温によって影響を受けるので、冬と夏ではアイドル・アジャスト・スクリューの戻し回数を微調整してやると良い。大体1回転以内で調整が可能なはずである。
SUキャブレターは外気温の影響が大きいキャブレターであるが、気圧の変化にも影響を受ける繊細なキャブレターである。山岳地帯で高度が1000メートルを超えるような高い場所では空気が希薄になり、吸入酸素量が低下する。結果的に混合気が濃くなるので、混合気が濃くならないようにアイドル・アジャスト・スクリューを少し締めて燃料供給が減る方向に補正してやる必要がある。
トヨタのコロナ1600Sや初代のマークUなどのSUキャブレターはアイドル・アジャスト・ナットではなく、上部にアイドル・アジャスト・スクリューがあるので、ドライバーを使用して回転させて簡単に調整できる。

チューニング
燃料供給パターンはテーパー状のジェットニードルの形状で決まってくる。
つまり、どの程度空気量が吸入され、その結果ピストンがどの程度上昇したときにどの程度の断面積になって燃料が供給されるかということである。
したがって、細かいサンドペーパーでジェットニードルを研磨して、形状を変更することで燃料供給パターンを変更することが可能である。
低速域の燃料を濃くするときは根元の太い部分を、高速域の燃料を濃くするには細い部分を研磨すればよいが、左右のジェットニードルを同じ形状に仕上げる必要があり、マイクロメーターなどを使って十分慎重に加工する必要がある。根元に近い10パーセント程度の部分がアイドリングをコントロールしている。根元から全長の10〜40パーセント程度が立ち上がりとクルージングの性能に影響し、全長の50〜70パーセントくらいの部分が高速性能に影響を与える部分である。
SUキャブの本家であるイギリスのSU社から各車用に数百種類のいろいろなジェットニードルが発売されているので、これらを入手することでチューニングは容易に可能と思われる。ただし、イギリスのSU社の製品、そしてミニやMGの製品はインチ規格になっているので要注意。
なお、ジェットの穴については絶対に加工してはならない。ジェットノズルを大きくしてもジェットニードルを細くしたのと同じ効果しかなく、精度が狂うので無駄な加工となる。

SUキャブレターについてはなかなか良い参考資料がないが、最近では下記の出版物が参考になる。
@立風ベストムック オートジャンブル キャブレター・メンテナンス&セッティング・ファイル 立風書房 2002年11月10日発行 2800円+税 ISBN4-651-00723-6
ANEKO MOOK オートメンテナンス Vol.6 キャブレターいじり大特集 ネコ・パブリッシング 2003年1月25日発行 1238円+税 ISBN4-87366-958-8
BOLD-TIMER No.72 2003年10月号 P.158-161 キャブレター・レストレーション Series 30 「日立キャブレター大研究T」
この記事は日産車に搭載されているSUキャブの他に日野コンテッサに搭載されたSUキャブについても解説を加えた貴重な記事である。
COLD-TIMER No.86 2006年2月号 P.138 キャブレター・レストレーション Series 44 「1974年型S30フェアレディZ用SUキャブ」
この記事は排気ガス対策型の一点調整式SUキャブのレストアと調整について記述されている。

やや古いものになるが、昔のAUTO MECHANIC(オートメカニック)にはSUキャブの調整についてときどき記事が掲載されていた。
SUキャブ/気温とナット戻し回数の関係(グラフ)   AUTO MECHANIC 79年9月 P.97
SUキャブのダンパーオイルの種類と補充        AUTO MECHANIC 75年10月P.216
SUキャブの進化/英国SU,日産,トヨタのSU    AUTO MECHANIC 75年2月 P.148〜151
SUキャブ調整/一点調整式/ナット戻し回数グラフ   AUTO MECHANIC 76年5月 P.82〜83
SUキャブ調整手順解説                AUTO MECHANIC 76年7月 P.97
SUキャブ調整法(1点調整式・2点調整式)      AUTO MECHANIC 75年10月P.34〜39
SUツインキャブアイドル調整法/トヨタ18R−B型  AUTO MECHANIC 79年9月 P.94〜95
SUツインキャブアイドル調整法/三菱4G32GS型  AUTO MECHANIC 79年9月 P.95〜96
SUツインキャブアイドル調整法/日産一点調整式    AUTO MECHANIC 79年9月 P.97
SUツインキャブアイドル調整法/日産通常タイプ    AUTO MECHANIC 79年9月 P.96
SUツインキャブの調整手順 A14型エンジン(51年対策) AUTO MECHANIC 85年7月 P.81〜83
SUツインキャブ一点調整式の調整           AUTO MECHANIC 85年3月 P.99
SUツインの取り付け/ブル510/グラビア   AUTO MECHANIC 75年12月P.24〜29
SU型ツインキャブレーターの調整(含1点調整式)   AUTO MECHANIC 76年3月 P.102〜105
SU型ツインキャブレーターの点検調整         AUTO MECHANIC 75年2月 P.94〜97
SU型ツインキャブレーターの不調追求法        AUTO MECHANIC 76年3月 P.82〜83
アイドル調整/SUツイン型キャブレーター       AUTO MECHANIC 76年2月 P.98〜99

SUキャブについては、下記のショップの名前が出版物によく出てくる。筆者は利用したことはないが、困ったときには相談してみるのも良いかも知れない。
特に山之内キャブレター、テクニカルトート神奈川、三貴プリパレーションはオーバーホールだけでなく、パーツの供給についても可能な体勢にあるようだ。
山之内キャブレター 546-0002 大阪市東住吉区杭全6-9-15 tel 06-6713-8665 fax 06-6713-8669
テクニカルトート神奈川 253-0071 神奈川県茅ヶ崎市萩園1161-28 tel 0467-87-1707 fax 0467-57-0490
三貴プリパレーション 136-0082 東京都江東区新木場2-8-4-A tel 03-3521-0155 fax 03-3521-0158
PRESCOTT(プレスコット 228-0828 神奈川県相模原市麻溝台1-3-5 tel 042-701-1270 fax 042-701-1217

このページの閲覧数が多いが、SUキャブの調整で困っている人がいかに多いかということを想像させる。
参考までに本家SUの分解図を掲載しておく。
古い英国車ではSUが広く使用されておりH1,H4,H6,H8,HD4,HD6,HD8,HS2,HS4,HS6,DU6,HV1,HV3,MC2.UBAなどの型式が装着されているが、 ジェットニードルは基本的に0.090, 0.100, 0.125の3種類である。ただし、それぞれ特性により、0.090は300種類以上、0.100は100種類以上、0.125は約100種類の特性がある。
それぞれの ニードルの寸法表を持っているし、また、1949年から1966年までの英国車のSUキャブとニードル(Rich, Standard, Weak)も判る資料があるので詳しい情報が必要な方はメールをいただきたい。



5 チャンバー分解時の合いマーク


6 ニードル
7 ピストン・リフティング・ピン。これを少し押し上げて離したたときにエンジンの回転数が一旦上昇するものの元の回転数に戻る場合は燃料の濃さが適当であり、エンジンの回転数が上がったままになる場合は濃すぎ、エンジンの回転がだんだん低下する場合は薄すぎである。古い日立製SUには同じものがついている。


1  ジェットアッセンブリー
13 ジェット・アジャスティング・ナット


4 分解時の合いマーク
8  フロート・ヒンジ・ピン、分解時に紛失しやすいので注意
9  フロート・ニードル
10 ニードル・シーティング


英国車の場合、フロートレベルは3.2から4.8ミリになるようにフロートのアームを曲げて調整する。


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