第12回日本アルペンラリー
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197O年(昭和45年)9月12日〜15日


 「ラリー公害」ということが騒がれ始めたのがこの年。それでも前年より参加台数は大幅に増え102台となった。
2100kmのコースを63台が完走している。
松原/茂手木/桐チームが前年に続き2連勝し、第9回と合わせてアルペン史上初の3勝目の栄光に輝いた。

コース 東京(神宮外苑)〜青梅〜塩山〜観音峠〜木賊峠〜信州峠〜内山峠〜中野市〜白馬村〜魚津〜富山市〜角川 〜天生峠〜金沢市湯涌白雲楼(第1ステージゴール)〜呑峠〜勝山市〜岐阜市〜本巣町〜八草峠〜木之本〜敦賀〜 大野市〜高山〜小浜〜長峰峠〜開田村〜木曽福島〜塩尻〜甲府〜大磯ロングビーチ


距離 約2100km

概略
・第1ステージ 最初の峠越え、柳沢峠で道路工事のため先頭集団がスタック。
5〜6ポイントを失ったチームが多かったが、減点0で通ったチームもあり、まさに勝負は時の運。競技者の予想を裏切って
三国峠にはチェックがなかった。
オンタイムで登っていたラリー車はかなりハードな下りをフルスピードで駆け降りることになり、リタイヤが続出した。
・第2ステージ 前半は平坦でドライブ気分だったが、武生から山道に入ったところで転落事故発生。乗員3人が負傷して
病院に収容したが、大事には至らなかった。最大の難コースは御岳登山コースで、突き出た岩がごろごろしており、
しかも時折雷鳴が聞こえる雨降りという最悪の天侯。「断崖から落ちたらパラシュートがないと助からない」はどの
山道を30km以上のアベレージで突っ走る。雨とドロと岩にたたかれた御岳だった。

参加台数 102台

【総合順位】
優勝・松原功卓、桐壮一郎、茂手木浅代(ギャランGS)
2・花沢 昭、中原喜栄人、久世隆一郎(スバルFF-G)
3・阿部達雄、飯島 昭(カローラ)
3・岩下良雄、鈴木勝太郎、横山文一(スバルFF-G)
5・佐山文夫、佐山修身(スバルFF-G)
5・平田篤介、戸村哲也、小菅良作(マークUGSS)
7・中村真久、三浦定夫、中村泰三 (ブルーバードSSS)
8・鶴岡宏三、名波芳光、岩崎修身 (サニー1200)
8・中村 晃、徳田 暹、小林治(ギャラン)
10・山口義則、迫田東二、小島一成(マークUSL)
11・大須賀弘、新井 清、越田 稜(コロナ1600SL)
12・西村秀敏、笹倉八郎、津田 正 (パプリカSL)
12・田中 聡、近藤忠成(フエローMAX SS)
14・柚木俊彦、渡辺秀己、川島将利(スプリンター)
15・木下武雄、樋口泰将、古川法幸(カローラ)
16・田中 正、中島正明、佐野 宏(ギャランGS)
16・水戸部喜一、大谷 進、藤原昌彦(ブルーバードSSS)
18・沢田一郎、吉田次郎、伊庭野芳郎(スプリンター)
19・岩井泰二、原 賢二(サニー1200)
19・原田芳郎、吉田宏之、星富士夫(スカイライン1500)
19・谷山 功、豊田俊雄、米山尚武(ブルーバードSSS)
22・白石俊夫、高岡祥郎(フエローMAX SS)
22・尾花繁男、佐々木紀典、岡本和雄(コロナマークU)
24・森川育彦、小林祐文(ブルーバードSSS)
25・稲益 登、一富 忠、中島浩夫(スバル1300G)
26・松本忠雄、飯田 淳、赤津幸男(スカイライン1800)
27・渡辺義雄、石川 昇、五島 哲(スバル1300G)
28・鈴木 忠、梅本修司、浅井淳一(カローラ)
29・山本利夫、早川洋一、星野房明(カローラ)
29・関口 保、掛巣 昇、関 佑司(ブルーバードSSS)
31・木島栄一、高木和夫、三輪正眼(フローリアン)
31・西野秀明、鈴木盛仁、村瀬 泰(ギャラン)
31・鈴木亮一、鈴山恭久、大川哲夫(ブルーバードSSS)
34・加藤 誠、行木 満(フエローMAX SS)
35・佐藤武士、岸 一美(ロータリークーペ)
35・小関典幸、小林俊一、渡辺一雄(スバル1300G)
37・大島秀記、清水良亮(パプリカ1200)
37・飯田収一、飯田広子(サニークーペ)
39・寺尾慶弘、小野洋一、瀬端延宣(コンソルテ・ベルリーナ)
40・富山恭行、土井節子(ホンダ1300クーペ)
41・神田 修、神尾 勝、野口 明(ブルーバードSSS)
42・八木貞之、長山光博(ブルーバードSSS)
42・鈴木信光、波多野裕、福島憲治(スカイライン1800)
44・山本紘一、加藤暫雄、小林一夫(コロナマークUGSS)
45・小林俊明、池谷実郎、津田恵久(カローラ1200SL)
46・梶浦高義、石井 清、田中 哲(ブルーバードSSS)
47・久下谷元宏、炭田 仁(パプリカSL)
48・浜辺克彦、安部信治、荒川憲治(ブルーバードSSS)
49・佐藤献二、尾針得介、磯田常男(スカイライン2000GT)
50・山住照夫、玉井宏幸(ブルーバードSSS)
51・妹尾吉之、鈴木清史(パプリカ)
52・田中輝世、寺田 駿、増田豊夫(ベレット)
53・緑川章央、村田源士郎、中島精一(ベレット)
54・佐分利一、小林久夫(パプリカ)
55・小埜達美、山崎 敦、小埜経美(ブルーバードSSS)
56・竹田成徳、加藤禎治、鈴木将之(ギャラン)
57・大森祥吾、増田 守、吉川忠夫(ベレット)
58・日置昭信、鈴木宏明、松江康一(カローラ)
59・中村 博、中村富次(スカイライン2000GT)
60・丸野公敏、佐藤 清(ブルーバードSSS)
61・石井孝夫、長坂章二(スバル1300G)
62・横山友明、野呂英太郎(コルト1500SS)
63・田中泰彦、生井 豊(サニー1000)
【タイムオーバー】
・大西俊作、辻 克則、宮川良明(カローラ)
・高橋幸男、矢崎泰久(ブルーバード)
・谷崎 明、村瀬 彰(カローラ)
・有馬清徳、有馬義徳、多田英明(ベレット)
・田中勇輔、武藤正紀、永井 勝(カローラ)
・柑本寿一、秋場千賀子(サニー)
・中谷一雄、宝田文広、豊田一之(マークU)
・鈴木伊能勢、佐藤清人(コルト)
・山岡昭一、葛飾和雄(スカイライン)
・池田二郎、若竹信義、増岡尚典(ホンダ1300)
【リタイア】
・木田新一、遠藤洋治(サニー1000)
・石橋文美、石井繁雄、今井 修(カローラ)
・丸山重次、野口邦夫、山本善嗣(サニー1200GL)
・城戸崎博孝、牧田央彦、高木彦二(ブルーバードSSS)
・石井慎一郎、小岡 稔(マークU1900)
・小出一彦、宮島芳男、西尾 勝(コルト1100F SS)
・市川文明、山本啓次郎(スカイライン)
・花輪亮男、大石 昭、秋篠 正(コルト)
・川合久雄、那須保之、江崎正啓(マークU)
・近藤 勉、高田武彦、楠 雅好(ブルーバード)
・人見勝一、農岩勝夫、橋詰一郎(サニー)
・黒田正夫、宮崎文男、石川 浩(サニー)
・稲葉一義、鳥海志郎(ギャラン)
・片川敬二郎、片川哲明、長谷川保夫(ギャラン)
・勝田照夫、松原秀之、山辺教夫(マークU)
・大谷 進、萩野太郎、岩岡弘人(カローラ)
・鈴木太能勢、岡本和政、平地茂男(ギャラン)
・清水照雄、石田好郎(マークU)
・玉木新一、中島 進、三保谷文彦(カローラ)
・敷島建雄、恒川英男(サニー)
・木全 巌、伊藤哲郎(ギャラン)
・川上竜夫、稲村義篤、畦池和明(ダットサン)
・篠塚建次郎、山崎英一、宮地久司(ギャラン)
・伊藤洋二、敷野秀一、塙 泉(コルト)
・西川雄治、中原保明、山崎実也(コルト)
・鈴木初男、大平武志、白井慶造(コルト)
・江川武男、江川光雄、梶原義弘(ベレット)
・田中一雄、内藤育造、溝口智則(コロナ)
・中村雅行、寺田陽次朗(ファミリアREクーペ)
【欠場】
・川島兵太郎、川島淳二、棚橋芳男(ブルーバード)
・永田正人、小林広明、鶴岡紀志雄(スバル1000)
・五十嵐良雄、五十嵐賢治(マークU)
・青木信一(スカイライン)

●神宮外苑をスタートする競技車                          ●飯田・飯田チームのサニークーペ

●中村・中村チームのスカイライン2000GT                     ●コロナマークUハードトップ

●総合優勝を果たした松原・桐・茂手木チームのギャランGS

【再録、アルペンこぽれ話】

ことしは大当たりの″スバルチーム″
 三菱、ダイハツ、富士重工などのファクトリーチームのなかで、ことし 「大当たり」したのがスバルチーム。
発売早々の1300G6台で参加し、総合2、3、5位を独占、6台とも完走するという平均した実力ぶりを示した。
 表彰式終了後、駐車場に陣取った約20人のチーム員は円陣を作り、親分・小関典幸氏の音頭でシャンシヤンと手打ち式。
いかにも酒がでないのが残念そうな顔つきだった。(日刊自動車新聞日曜版 1970年9月20日)

Iクラスで−与3位を独占したDCCS
 調子のよかった組ではダイハツのDCCSもその一つ。軽自動車フエローMAXで、並み入るラリー車を相手に総合12位(田中)、
22位(白石)を占め、千cc以下のTクラスで1、2、3位を独占という、偉業を達成した。
 白石チームは第2ステージの前半にアクシデントがあり、右フロントフェンダーをへこませながら金沢へ到着したが、
翌朝には色ちがいのフェンダーがつけられている − といった機動力も駆使された。これを見たプライベートの
エントラントが、思わずため息をついた。 「さすがファクトリー」 (日刊自動車新聞日曜版 1970年9月20日)

寺田陽次朗、リタイヤでしきりにポヤキ
 MSCCただ1台出場のマツダファミリアロータリークーペには、中村雅行と寺田陽次朗がペアで出場。第1ステージ前半を
快調に飛ばしていたが、第7PD直前で、路肩にかくれていた橋ゲタに激突、2人とも無傷だったもののマシンは完全に
アウト、あえなくりタイヤ。(日刊自動車新聞日曜版 1970年9月20日)

ドラム缶から給油
 志賀坂峠に、風変わりな給油所が出現した。なんとドラム缶から直接給油する仮設給油所だ。このあたりは山岳コースが
長いので、次の給油所までガスが持ちそうもない、との配慮から。この仮設スタンド、自由配給というわけにはいかない。
ドラム缶の容量から計算して1台15リットルまでと制限された。なんだか、戦時中の配給風景みたいな、妙な場面だった。
(JMCニューズレターより)

出典: 日本アルペンラリーの足跡/澁谷道尚/湧水社出版(1996/05) ISBN: 4-946520-01-5


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