第10回日本アルペンラリー
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1968年(昭和43年) 9月20日〜23日


 第2ステージでの競技中、上高地で交通渋滞に遭遇し、第6回と同様に岐阜県平湯で打ち切られた。
結局、競技は1600余kmのハードコースばかりで開催されることになった。
最後まで激戦を続けた稲葉チームと鈴木チームが、減点4という驚異的な成績で初の同点優勝を飾った。
この年より国際ラリーに準じたクラス分けを採用した。

コース 東京(東京プリンスホテル)
〜藤岡〜茅野〜富士見〜入笠山〜飯田〜設楽〜天竜〜新城〜恵那〜八幡〜高山〜濁河温泉(第1ステージゴール)〜
木曽福島〜平湯〜乗鞍岳〜天生峠〜栃波〜金沢〜大野〜和泉〜高山〜松本〜茅野〜甲府〜東京(東京プリンスホテル)

距離 約1900km

概略
 4日間1900kmのうち、レストコントロールとしては2日目の朝、ヨコハマタイヤ新城工場で1時間、2日日の夜、
岐阜県小坂町濁河温泉での1泊を含む16時間休息だけというハードスケジュール。
宿泊までの第1ステージを完走したものは82台のうち68台、第2ステージを完走したものは68台のうち59台と、結局
最終までの完走は70%強という、これまでにない成績を記録した。
入賞も同点同順位がこれまでにない多数で、総合10位までに14チームが入るという、記録づくめのラリーだった。

参加台数 82台

【総合順位】
優勝・鈴木信光、鈴木 厳、田村潤三(スカイライン)
優勝・稲葉一義、野口隆弥、小幡元祥(ブルーバード)
3・加藤爽平、江口俊夫、山崎英一(コルト)
4・武士幸彦、近藤晋仁、武藤雅夫(コロナ)
5・小関典幸、花沢 昭、石関令宣(スバル1000)
5・脇谷助太郎、苅谷義雄、日比野義博(カローラ)
7・田丸久喜、松井英堆、田丸誠之(ブルーバード)
7・戸村哲也、平田篤介、平沢大衛(カローラ)
7・鈴木正敏、中村 彬、木村恭二(コロナ)
10・青木 博、佐々木統夫、真木繁光(ブルーバード)
10・岡田京三、窪田 豊、水沢秀雄(ブルーバード)
10・杉原弘康、桜井克彦、松本 宥(カローラ)
10・中村 努、原島秀夫、桑島健次(スカイライン)
10・鈴木勝太郎、古川昭久、宮城良行(ブルーバード)
15・勝田照夫、山本紘一、梅本修司(コロナ)
15・小宮山順弘、吉沢好道、森山次郎(カローラ)
17・多田雅亮、島田敦彦(サニー)
17・宮崎文雄、高橋勝彦(ブルーバード)
17・石橋正道、山田義孝、三清恵翁(ブルーバード)
20・歌原義和、八並憲二、荒川憲明(コルト)
20・石川 昇、山口憲二(コルト)
20・柚木俊彦、竹林武一、石山博晟(カローラ)
20・江原達怡、新井 武(カローラ)
24・池町義則、池町和彦(カローラ)
25・井上隆敬、松下良紀、石川邦夫(ブルーバード)
26・佐藤武志、岸 一美(カローラ)
27・大石昭、井上修平、花輪亮男(コルト)
27・黒田正夫、宮古幸彦、石川 浩(サニー)
29・柑本寿一、鈴木直禎、秋場千賀子(サニー)
30・関根信之、内藤育造、三保谷文彦(カローラ)
31・鈴木太能勢、岡本和政、平地義雄(コルト)
32・鈴木正史、斉藤 正、修行辰次(ブルーバード)
33・高木彦二、牧田央彦、城戸崎博孝(ブルーバード)
33・福井正夫、北原 孝、福井威夫、木島栄一(フローリアン)
35・大西孝之、中川 裕、迫田行介(コロナ)
35・平林 武、西牧徳光、西村昭良(ブルーバード)
37・渡辺衡三、田中一美、岡昂(ブルーバード)
38・田中一雄、小沢浩明(ベルリーナ)
38・三本義光、鈴木毅夫、加藤 晃(ブルーバード)
40・近藤四郎、岡本和夫、尾花繁堆(ベレット)
41・貴島範彦、釜付真一、樋口善憲(ベルリーナ)
42・矢内皆良、臼井敬一(ブルーバード)
43・清水 惇、古寺泰司、井沢健二(ブルーバード)
44・中村雅行、関 虎実(ファミリアクーペ)
45・米沢高志、内山昌三、石渡喜八郎(コルト)
46・川井登基緒、吉原 寛(サニー)
47・小川時雄、三井英保(サニー)
48・保田昭彦、山本一郎、高井 弘、鷲山正直(ブルーバード)
49・高木和夫、増田豊夫、中溝正道(ベレット)
50・小竹昭夫、小竹厚子、福原幸雄(コロナ)
50・矢内 駿、山田一博、三武鉄也(カローラ)
52・永岡邦夫、橋本 薫、一楽哲男(コロナ)
53・内藤清明、大沢宏之、宇田川陽子(コンテッサクーペ)
54・岩崎淳一、林 佳幸、生嶋勝和(ブルーバード)
55・清水一男、瀬端延宣、斉藤和夫(ベルリーナ)
56・丸井正一、磯野 実(ブルーバード)
57・小林吏子、横山幾久雄(サニー)
58・野崎純一郎、大塚和子(クラウン)
59・森田一男、山中竹義、須藤禧夫(コロナ)
【人命救助表彰】
・中原喜栄人、村岡三郎、土屋寅松(スバル)
・鈴木邦夫、松本忠雄、佐藤献二(スカイライン)
【タイムアウト】
・寺尾慶弘、田中 聡、近藤忠成(ベルリーナ)
・高橋哲哉、大沢 弘(スバル)
・岡部一男、近藤高俊(スバル)
・加藤誠、行木 満(フェロー)
・原田昌彦、古瀬俊次、中谷裕亮(サニー)
・成瀬正次、矢嶋芳雄、加藤三郎(ブルーバード)
・木全巌、片川敬二郎、伊藤哲郎(コルト)
・伊東祐正、橋本 武(ルーチェ)
・若林直敏、若林孝敏、若林順子(ブルーバード)
・茂手木浅代、桐荘一郎、関 侑司(ブルーバード)
・谷山 功、豊田俊雄、米山尚武(ブルーバード)
・島谷陽一郎、張 道明、新倉芳夫(フローリアン)
・横山文一、吉野宣宏(ブルーバード)
・関口和正、天野智雄、桜井一雄(ブルーバード)
・小森三二、榎本定夫、林徳喜雄、越村和夫(フローリアン)
・原野清博、福田修治、川口元弘(ベレット)
・魚住純子、片平 浩、高橋 弘(ボクスホール)
・佐野直躬、加藤久孝、佐野英之(スカイライン)
【リタイア】
・加藤文雄、海老名志朗(ブルーバード)
・岩下良雄、阿佐見清、平井嘉秋(カローラ)
・小林俊平、小石光俊(ブルーバード)
【不出場】
・森西栄一、宝神正明(サニー)
・斉藤保吉、山下次郎(ブルーバード)

●壇上の入賞車/優勝の鈴木・鈴木・田村組のスカイライン、稲葉・野口・小幡組のブルーバード

【再録、アルペンこぼれ話】

見事なファクトリー勢のサービス
 いわゆるファクトリー勢というものはたいしたもので、淘河温泉の夕刻は、三菱の一隊をはじめダイハツ、プリンス、
サニー、カローラ系のサービスカーがどっと繰り出し、ときならぬサービス風景を展開。パンク修理からタイヤ交換までやり、
ヨコハマタイヤのサービス所は手持ちぶさたに…。
 昨年ならもっとパンク修理が繁昌したのに、とヒマをもてあましていたが、「今年はパンクが少ないんじゃなく、
ラジアルタイヤのGTスペシャルなんていいタイヤの利用をすすめたからこうなった」といわれて一同苦笑い。(モータリスト
スポーツNo.66 1968年10月1日)

並ならぬ優勝への執念
 優勝した稲葉一義キャプテン、 濁河へ他の2チームともども最優秀成績で入ったものの車の調子がよくない。
愛車のサービス品が不足とかで、部品を買いに夜半に高山へ降り、‥補修に午前2時までかけ、第2ステージヘ。その上での
栄冠だけに、感慨もひとしおとのこと。
一方、前回優勝の茂手木浅代キャプテンの率いるモテギチームは、初日に事故で車を大破しタイムアウト。5、6時間遅れと
なったが、ゆうゆう追走してその貫線とラリーマナーの範を示した。(モータリストスポーツNo.66 1968年10月1日)

人命救助賞などを表彰
 9月27日、東京プリンスホテルで開かれた日本アルペンラリー開催10周年記念パーティーの席上、多数の参加者の祝福の
拍手の中で、入賞者はそれぞれ大賞牌を手にした。
 このほか、野崎純一郎・大塚和子の両選手に10年連続出場に対して、古賀、種村の両氏には10年間の長きにわたった
貢献度に対し、さらには細尾峠における不慮の転落事故に対し、競技を放棄して救助したPMCSクニオチーム (キャプテ
ン・鈴木邦男)、同FFチーム (同・中原喜栄人)の両チームに人命救助賞を、同救助協力感謝状を滝レーシング・江原チーム
(同・江原達怡)、TMSC内藤チーム (同・関根信之) のみなさんがそれぞれ・表彰された。(モータリストスポーツ
No.66 1968年10月1日)
(このとき、澁谷道尚氏も10年間にわたるラリー開催の功労で表彰を受ける)

出典: 日本アルペンラリーの足跡/澁谷道尚/湧水社出版(1996/05) ISBN: 4-946520-01-5


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