山岳ドライブについて
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昔はラリーに夢中になったが最近はそれほどハードなことが出来なくなった。
そのかわりに擬似ラリー的に山岳ドライブを楽しんでいる。


山岳ドライブとは
登り下りのある山道、山間部の国道や林道、廃道などを走行してドライブテクニックを楽しむもので、
さらに、山の峯からの展望を楽しみ、通過地点近くの名所や旧跡などに立ち寄る楽しいドライブである。
国道の中にはかなりの酷道もあるので結構楽しめる。
ワインディングドライブと呼ぶ人もあるが、快適にコーナーリングを楽しめる広いコースだけでなく、
狭い山道の走行も楽しむ。
当然のことながら安全と環境保護に努める。路面を傷めるような運転を控え、ゴミなども持ち帰る。
村の集落を通過するときは十分減速する。無用なアイドリングは行わないなどマナーを守る。
模擬ラリー風にドライブを楽しむのも良い。事故や故障に備えるためには単独行を避け、複数の
車両で出かけ、5分くらいの間隔をあけて走行するのが好ましい。

山岳ドライブ向きの車両
山岳ドライブというと四輪駆動のRV(ランドクルーザー、日産パトロール、パジェロ、ランドローバーなど)が
適しているかというと一概にそうはいえないと思う。
四輪駆動のRVは荒地向きに車高を高くしてあるが、最近の林道は四輪駆動のRVが必要なほど荒れた
路面ではない。
四輪駆動のRVは道路ではないような荒地走行を狙いとして作られたものである。
四輪駆動のRVは悪路の踏破性は良いかも知れないが、概して車体が巨大であり、狭い山道で身動きが取れなくなる
恐れもある。特に車幅が大きいためにすれ違いが困難なことが多いし、車体の左側が把握しにくい。
また重心が高いので転倒するリスクが大きいし、コーナーリングを楽しむには程遠い運動性能である。
ラリーで活躍しているインプレッサWRXやランサーエボリューションなら申し分ないが、小型のマニュアル
ミッション車であれば運転が楽しめると思う。
1500cc程度のFF車または、軽自動車のターボ付のスポーツモデルなどだと良いと思う。
ワンボックスや大型のサルーンなどでは山岳ドライブはちょっと無理だろう。
ねらい目は小型、軽量、ハイパワーのマニュアルミッション車である。

装備
本格的な山岳ドライブをするなら車両の選択から考えないといけないし、ラリー用に準じた改造が必要であるが、
ここでは普通のドライブとして楽しめる程度を前提に考えてみたい。
サスペンションをやや固めにするのが好ましいが、腹を打たないためには車高は下げない方が良い。
車両は安全のために4点式シートベルトを装着する。
これは安全のためだけでなく、運転者と同乗者の疲労を少なくする。腰のベルトは腰骨にくるように
しっかり締める。肩ベルトは運動性を損なわぬように、かつ、ダッシュに衝突しないような位置で
締める。助手席の搭乗者は車に横Gが掛かっても身体が傾かないように肩ベルトもしっかり締める。
ロールバーはあった方が安心である。
他にデジタル式のトリップメーターがあると、地図と対照してポイントを発見するのに便利である。
ラリーコンピューターを装備しておくと、区間の平均速度を設定して、遅れと進み具合がわかるので、
ドライブのスケジュールとの違いがわかるし、同じ区間を走行してドライブテクニックを磨くのにも利用できる。
昔はスピードメーターケーブルの前か後にセンサーを装着したりしたが、最近は車のECUから信号を
取り出せばよいのでトリップメーターやラリーコンピューターの装着は簡単である。
夜間走行するなら、フォグランプやドライビングランプも装備すると良い。
広角のフォグランプが山岳ドライブには適している。マップランプはフレキシブルパイプ式のものを
フロントピラーまたはセンターピラーに装着すると良い。
最近はダート(地道)が少ないのでタイヤは普通のタイヤでも十分であるが空気圧をやや高めに
調整しておく。ただし空気を入れすぎると跳ねるので10%増し程度にする。
スペアタイヤの空気圧もチェックしておく。事前にホイールナットの締め付けをトルクレンチで
確認する。
馬鹿締めするドライバーやメカニックもあるが必ずトルクレンチを使用して規定のトルクで締めておく。
締めすぎの場合は、ホイールを歪ませるし、タイヤ交換のときに車載の工具ではホイールナットを
取り外しできない恐れがある。
オイルと冷却水、ウインドウウォッシャー液のチェックと補充をしておく。
バッテリーの取り付けボルトに緩みがないかチェックする。(この点検を怠ってラリー中にバッテリーが
外れて対処に苦労したことがある)
搭載する工具としてはジャッキや車載工具の他に10ミリ、12ミリ、14ミリのコンビレンチ、
そして三角反射警告板は当然のこと、発炎筒やガムテープも持っていく。
予備のヒューズと牽引ロープと懐中電灯(高輝度LED)も必要だ。
冬は故障したり事故をおこした場合のような非常時に備えて防寒具と毛布も準備しておく。
ビスケットなどの簡単な非常食とミネラルウォーターもあると冷却水の補充にも使用できるので良い。
ドライビング・グロープは必須である。鹿皮や山羊皮が好ましいが、豚皮の安いものでよい。
汗で湿ると皮のグリップが増してステアリングミスをするようなリスクを減らしてくれるし、グローブが
ステアリングをしっかりとグリップするので疲れも少なくなる。
靴は底が適度に固く、しかもペダルの感触が伝わるようなものが良い。
スニーカーやテニスシューズなどは運転に適している。
服装は好みによるが、化学繊維は静電気がおきるし、吸湿性が無いので木綿のものが良い。
雨具も忘れないこと。外で作業しなければならないことを考えフード付の雨具が良い。
カーナビもあると地図代わりに便利だし、地図を拡大表示にしておくと次のコーナーの角度を事前に
知ることができるので便利である。
ただし、自立航法装置は、山道のコーナーを何度も曲がって走行すると、コーナーリングしたデータと
位置情報が食い違うのか、カーナビがパニックを起こしたり、しばらくの間道路から外れた場所を
示すので、ハードドライブをしたときにはカーナビの示す位置は信用できない。
携帯電話は山の中では利用できない場合もあるが、万一の連絡用に持っていく。
アマチュア無線のトランシーバーも有用であるが、最近は愛好家が減っており、しかも山の峯など
見晴らしの良い地点では電波も届くが谷にいると無線も役に立たない。
夜間に山の中で方角を失ったときのためにしっかりした方位コンパス(方位磁石)は必需品だ。
記録用にデジカメは必須だし、遠くを眺めて楽しむには望遠鏡も持っていると良い。
当然のことだがガソリンはフルにしておく。走行ルートを検討するときにどのあたりでガソリンを補充するか
事前に考えておく。
記録用のノートまたはバインダーと筆記用具も必要だ。走行時に記録をとっておくと記念になるし、
次回のドライブの参考資料として役立つ。

地図
地図は縮尺10万分の1くらいのものを準備しておく。
以前は武揚堂の地図が見やすくて愛用していたが、最近は道路地図から撤退したようで極端に種類が減っている。
「関東甲信越」と「新潟・群馬・長野」に関しては武揚堂のビッグマップシリーズというのが便利だったが、
これも絶版になってしまった。

昭文社からはチョイスに困るくらいに似たような地図がいろいろ出版されているが、情報量からすると 「ツーリングマップル」がもっとも良い。
しかし、この地図はバイク用に出来ており、サイズと文字が小さいので、車では使い難いのが欠点だが内容的には
この地図が一番充実しており、林道やダート、お勧めルート、見晴らしの良いポイントなど情報が充実している。
特にGPSの緯度と経度のデータまで記載してあるのは便利である。
自宅でコースを検討するときに使用するのが適当な地図である。

自動車で走りながら実際に使うには昭文社の「GIGAマップルでっか字道路地図」が良い。文字が大きく道路の色分けが
わかりやすくてバックの地色も薄いので書き込みもしやすい。山岳道路については実際は通行できないところが通行できるような
間違いも多少あるものの山岳ドライブ用に適した地図のひとつである。
これは北海道版、東北版、関東版、中部北陸版、関西版、中国版、四国版、九州版と8冊で全国を網羅している。

非常に良い地図だが昭文社の販売意欲は低いようで、昭文社のホームページから探し出すのに苦労する。

国土地理院の5万分の1の地形図は正確であり、林道の検討に参考になる。国土地理院の地図は大きな書店で
販売している。地図の上と左の端を折り返してから、全体を二つ折にして、さらに2回二つ折にする。
そのように折ると、折った状態で地図の名称を記載した部分が表にくるのでたくさんの地図から目的の地図を見つけ出すのに
便利である。
また広げると凡例の部分が右端にくるので地図を読むときに参考になる。複数の地図にまたがるところを見る
場合は折り返した上と左の辺を他に地図の上に重ねて使用する。
なお、25000分の1の地形図もあるが、細かすぎてドライブには適していないが細かいポイントを検討するには参考になる。
最近は試験的ではあるがネットで閲覧できるので便利である。

コースの計画
コースを決めたら事前にミスコースしやすいポイントを書き出してエクセルでルート表を作っておくと良い。
知らないうちに通過するような場所をポイントにしてはならない。突き当たりT字路とか、トンネルや
橋などはポイントとして適切である。
曲がる予定の交差点については目印をメモにしておく。最近は地図に交差点の名称が記載してあるので
それを事前に調べておくと良いし、道路番号も参考になる。
ルート表には各ポイント(交差点など)の詳細を記載し、前のポイントから次のポイントの区間距離、
道路名(国道○○号線など)を記載しておく。予測所要時間も記載すると、予想時刻も、総走行距離も
事前に把握できて予定を立てやすい。
区間距離は地図上から読み取るが、市街地ではだいたい予想した通りの距離だが山道になると、
曲がりくねった部分を考慮して予測したつもりでも実際の距離はさらに長いので予想の3割増しくらいで
距離を予測すると良い。
インターネット上の地図を用いて距離を予測することも出来る。
国道の距離については「道路時刻表」を用いて調べる。これは毎年夏頃に出版され高速道路のパーキングエリアの
インフォメーションセンターで1600円で販売されていたが、発行中止になってしまった。
すべての国道についてポイント間の距離と所要時間が記載されており、主要交差点も記載されている。
所要時間については実測されており、上りと下りの所要時間がそれぞれ表示されており非常に参考になる。
観光バスや長距離トラックが所要時間を算定するのにこの「道路時刻表」を活用していると聞いている。
最近は「道路時刻表」と同じ情報がインターネットからも利用できる。
国土交通省のサイトから見ると、道路時刻表以外に 他のルート検索サイトも掲載されているので参考になる情報が得られる。
「道路時刻表」にかわりいくつかの検索サイトもある。
北の道ナビhttp://time-n-rd.jp/
東北地方整備局http://www.thr.mlit.go.jp/road/koutsu/jikoku/index.html
関東地方整備局http://www.ktr.mlit.go.jp/kyoku/road/jikoku/
北陸地方整備局http://www.hrr.mlit.go.jp/toyama/yakudachi/yakudachi.html
近畿地方整備局http://www.kkr.mlit.go.jp/road/c.htm
中国地方整備局http://www.cgr.mlit.go.jp/road/roadtime/roadtime.html
四国地方整備局http://www.skr.mlit.go.jp/road/rt/
他にハイウェイについては「道路TIMETABLE」http://douro-timetable.jp/で所要時間と距離を検索することが出来る。
さらにカーナビを用いても距離の予測は可能であるがカーナビで検索すると山道は避けてルートを設定するので、
カーナビによる山岳路の距離の予測は難しい。
平均速度だが、道幅2.5メートル(1.5車線)程度の山道では時速30キロが適当な設定速度である。上級者は35キロまで
設定しても良いが、これが実際上での限度だと思う。1車線ギリギリの山道では平均時速25キロ、上級者で30キロが限度である。
国道では制限速度と信号の数で実質的な速度が決まってくるが、高いところでも平均55キロ、渋滞の多いところでは
平均35キロくらいに落ちる。
普通の国道は平均40キロ程度として計画を作る。高速は渋滞もあるので80キロくらいを計画速度とする。
平均100キロで走行したつもりでもパーキングエリアで少し休憩すれば平均時速は80キロくらいになって
しまう。
休憩を適度に計画し、写真の撮影や、名所に寄り道する時間も考慮に入れる。
ちょっと停まれば15分くらいはすぐに経過する。
ハードドライブでも休憩や食事で一日に3時間くらいの停車時間は必要になる。
ルートが決定したら、インターネットの地図で縮尺を変えてクローズアップしながら予定したルートを
たどってみる。
地図ではY字路のつもりが実際には自然に通り過ぎてしまうような交差点だったり、X字の交差点が
実際には十字路だったりする。
拡大した地図でルートを辿ってくとミスコースをするリスクが減るし、印刷した地図より新しい情報を
得ることが出来る。
電子マップも事前のコース検討に有用であり、電子マップの中には重要なポイントのコマ地図を
印刷することができるものもある。
Google マップを開き、「ルート・乗換案内」で、「車で行く」のアイコンを選び、出発地点と目的地を入力するか、
地図からドラッグしてポイント入力し、検索するとルートが出る。「印刷」のメニーを選び、「テキストのみ」を選ぶとラリーの
コマ地図のようなルート図が印刷できる。
「地図」を選んで印刷すると、交差点ごとにその付近の地図が印刷される。「ストリートビュー」を選ぶと交差点ごとに
画像が印刷できる。
Mapionの場合は「ドライブ」を選び、出発地と目的地を入力して検索し、「印刷」メニューを選択すると「ルート概要」
「全体地図」「交差点案内」を印刷することができる。「交差点案内」はラリーのコマ地図のような地図である。

情報収集
山岳ドライブに適したコースを探すにはインターネットが良い。山岳路を走行した記録が掲載された
ホームページがたくさんある。
林道走行をテーマにしたホームページもたくさんあるが、ツーリングと記載してあるものは二輪が多く
ドライブと題したものは四輪が多いようだが、二輪で走行できたところが四輪で通過できるとは
限らないので、二輪で走行した記録なのか、四輪で走行した記録なのかを確認しながら内容を読み取る必要がある。
単に走るだけではなく、展望を楽しみ、名所にも寄って楽しむのが良いと思う。
ルート近くに美味しい食事を出す店をインターネットで検索しておくと良い。
ただし、グルメサイトは広告と同じであるから本当に安くて美味いものを食べようとするなら
個人のホームページの情報が良い。
道の駅は最近あちらこちらにある。食事が出来るところが多いが、安くて美味いものは期待できないが
ソコソコの食事は可能である。
道の駅のトイレは清掃が行き届いているのが原則で、汚れている道の駅は少ないのでトイレ休憩を
道の駅に設定しておくと良い。道の駅には周囲の地図があることが多く周辺の林道などの情報を得ることも
出来る。

帰宅したら
車の破損がないか確認し、必要な整備を加える。
ドライブの記録と画像を整理して所要時間や平均時速、燃費などのデータをまとめておく。
ルートについて路面の状態、交通量、間違えやすいポイント、危険なポイント、見晴らしの良いポイントなど
を忘れないうちに記録する。


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