タイヤの幅とホイールの変更(オフセット)について
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ホイールの変更の計算方法

「リム幅×25.4÷2−オフセット値=フランジ(車軸にホイールを取り付ける面)からホイールのリムの外側までの距離」
つまり、ホイールのリム幅とオフセット値が判ればホイールがどれだけ外に出るか(内側に入るか)がわかる。

たとえば5.5J x 15インチ オフセット +45 タイヤ:195/60R15を 6.0J×15インチ オフセット +35 タイヤ:185/65R15 に変更する場合

リム幅は5.5Jのとき139.7ミリで、オフセットが45なのでリムの外側は139.7÷2−45でフランジから24.85ミリ。
6Jの場合はリム幅は152.4ミリで、オフセットが35でリムの外側は152.4÷2−35でフランジから41.2ミリ。
つまり41.2−24.85=16.35ミリ外側に出る。

リム幅が0.5広がるということはオフセットが変わらない場合、ホイールが0.5インチの半分だけ外側に出る。
つまり、1インチは25.4ミリなので、0.5インチは25.4÷2=12.7ミリ、この半分(12.7÷2=6.35ミリ)が外側に出ることになる。
先の例のようにオフセットが+45から+35になるなら、オフセットの差(45−35)の10ミリを加えて(6.35+10)トータルで16.35ミリ外側に出ることになる。
6Jのホイールに広げても、オフセットを35から16.35ミリ増やして51.35にすればホイールの面は変わらない。
オフセットの値が大きくなるとホイール全体が奥に入る、と理解するとよい。

ホイールのリムの外側の位置がどれだけ違うかは
(変更後のリム幅−変更前のリム幅)×25.4÷2+(変更前のオフセット−変更後のオフセット)と計算しても良い。

ホイールのリムの外側の位置が変わらないようにリム幅を広げたい場合は
(変更後のリム幅−変更前のリム幅)×25.4÷2+(変更前のオフセット)=変更後のオフセットとなるようなホイールを装着すれば良い。

なお、厳密に言うと、リム幅はリムの内側の寸法であり、前述の記述は正確ではなく、リムの耳(ビードの当たる部分)の厚みがあるので、数ミリ違ってくるが、現在装着しているホイールと、別のホイールとの違いを検討する場合は、どちらのホイールもリムの耳の厚みがあるので、比較する場合は無視して検討しても良いだろう。
厳密にホイールの表面の位置を検討する場合は、前述の数式で得られた数値にリムの耳の厚みを加えて計算する必要がある。

計算上フェンダーに干渉しないという結果が出てもホイールの実寸は表示と多少異なっている可能性もあり、またサスペンションは常に両輪が同時に同じように沈まないので、路面が斜めの場合には片側でフェンダーに干渉する恐れもある。
またサスペンションは完全に固定されているのではなく、遊びもあるので、コーナーリングフォースが掛かったりして、特異な状態でのみボディやサスペンションと干渉することもある。

タイヤの外側、つまりフェンダーとの干渉があるかどうかだけに関心が向きがちだが、幅広のホイールに変更する場合はホイールの内側が車体やサスペンションなどに干渉しないか注意が必要。1インチ程度広くする場合はまず問題はないが、2インチ以上の幅広のホイールの場合は注意。
特にステアリングをいっぱい切ったときにインナーフェンダーなどに干渉する。またサスが縮んだときにも干渉する恐れがある。
また、タイヤ幅やリム幅を極端に広げたり、オフセットを大きく変更すると、冬季にタイヤチェーンを装着できない場合があるので、注意が必要である。

インチダウンした場合にホイールのデザインによってはブレーキキャリパーが干渉することもある。
計算上の数値と現物では多少寸法が違ってくることがあるので最終的には実車での確認が必要になる。

なお、ホイールを交換するときはPCDと穴数が合っていないと適合しないが、意外と忘れがちなのはセンター穴(ハブ径)のチェックである。
純正のホイールはハブとピタリと合うようになっているので純正のホイールを違うクルマに転用するときは適合するかどうか事前に十分調べておく必要がある。
社外品のホイールはセンター穴(ハブ径)が大きめに作られており、ほとんど問題ないがまれにはまらないものもある。

なお、ホイールの交換にあたり、バルブ(エアー注入口)の点検も重要である。ホイールの裏側からナットで締め付ける方式のバルブはパッキンが劣化している可能性があるのでホイール交換の機会に点検し、必要ならパッキンあるいはバルブを交換する。
ゴム製のバルブは意外とトラブルは少ないが、ホイールの回転により遠心力で外側に力がかかるためにゴムが割れている場合もあり、定期的な交換が必要である。

あと、注意しなければならないのはホイールナットの当たり面はほとんどがテーパーであるが、ホンダ純正のホイールなどホイールナットの当たり面が球状のものがあるのでホイールに適合するナットに交換しなければならない。

ホイールナットのネジ山のピッチは2種類あり、間違えのないようにする必要がある。
P1.25 日産・スバル・スズキ
P1.5 トヨタ・ホンダ・マツダ・三菱・ダイハツ・イスズ
昔の車や特殊なクルマでは緩み止めのために片側のホイールのネジが逆ネジになっているので注意が必要。
なお、ナットの頭はメーカーにより17mm・19mm・21mmがある。純正と違う頭のボルトに交換したときは車載のレンチも合うものに交換しておくこと。

ホイールナットのかわりにホイールボルトを使用しているメーカーもあり、これも当たり面はほとんどがテーパーであるが、当たり面が球状のものがある。

ホイールの取り付けにあたってはトルクレンチを使用し、適正なトルクで締め付けること。 このときナットとボルトの齧りを防止するため、また締め付け時に適正なトルクがかかるように、スレッドコンパウンドや、カッパーグリースを薄く塗布しておくと良い。

用語
PCD: Pitch Circle Diameter ホイールボルトを結ぶ円の直径を言う。4本ボルトの場合は対角にあるボルトの間隔と同じ。
一般に98, 100, 110, 114.3, 120などで、外車には特殊な値のものがある。国産乗用車はほとんどが100または114.3の4H(4穴9または5H(5穴)
ET: オフセット: リムの中心とフランジとのズレ(距離)を言う。ETはドイツ語Einpresstiefeの略でオフセットoffsetの意味。オフセットの値が大きくなるとホイール全体が奥に入る。オフセット値がゼロのときはリムの真ん中がフランジ面と一致する。つまり、フランジ面を中心にリム幅の半分づつが手前と奥になる。
フランジ: ホイールを車体に装着するときにホイールが車軸に密着する面を言う。ホイールがディスクブレーキの真ん中やドラムブレーキの外面に密着する部分

下記のサイトではタイヤサイズと互換のサイズが簡単に計算できるので有用である。
タイヤサイズ変更 早見表 http://www.tiresize.net/rim/rim.htm

下記のサイトでは純正のタイヤとホイールサイズおよび、フェンダーとのクリアランスを入力すると、変更後の影響を計算してくれるので有用である。
ホイールマッチング「ツライチ」シミュレーション http://cars-japan.net/wheel/wheel_match.cgi

タイヤ&ホイールサイズ自動計算 http://www.eris.ais.ne.jp/~t-kondo/cgi-bin/tire-size.cgi

タイヤ外径&ホイールオフセット計算スクリプト http://www.geocities.jp/ks_privategarage/tirewheel/tirewheel.html

下記のサイトではホイールサイズおよび、フェンダーとのクリアランスの関係がわかりやすく図示されており、 マッチング計算表もある。
ホイールマッチング計算入り口 http://www.geocities.jp/surflinesw/yorel/off2.html


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