バキューム・ホース


マーチR/スーパーターボはスーパーチャージャーとターボの切り替えを各部の圧力を検知して複雑なバキュームホースと電磁弁でコントロールしている。
バキューム・ホースは普通のサイズ(22310A)であるが、バキューム・コントロール・バルブ(14955M)のAにつながる部分とスーパーチャージャーのブローバイ回路など、やや太いホース(22320M)が使用されている部分もある。
特に交換が厄介な位置にあるホースは気づかないうちに劣化して性能低下を引き起こしている可能性がある。


図の中の6桁の番号は後対応部番である。
   
番号長さ識別色部位
 @260バキューム・コントロール・ソレノイド(14956W)のB〜バキューム・コントロール・ギャラリー(スインガー右上)
 A170バキューム・コントロール・ソレノイド(14956W)のA〜バキューム・コントロール・バルブD
 B190バキューム・コントロール・バルブ(14955M)のA〜バキューム・コントロール・ギャラリー(スインガーの左一番下)やや太いホース
 C 50バキューム・コントロール・バルブ(14955M)のC〜3ウェイ(14960M)
 D200 バキューム・コントロール・バルブ(14955M)のB〜バキューム・コントロール・ギャラリー(スインガー左の一番上 ) オリフィス入り
 E240  バキューム・コントロール・ソレノイド(14956W)のC〜バキューム・コントロール・ギャラリー(スインガー右下)
 F130 3ウェイ(14960M) 〜バキューム・コントロール・ギャラリー(スインガー左上から三番目)
 G210  バキューム・コントロール・ギャラリー(スインガー右上)〜バキューム・タンク・ソレノイド(14956U)のC
 H250 バキューム・パイプ(カムカバーの後ろのパイプ)〜バキューム・タンク・ソレノイド(14956U)のB
 I150バキューム・パイプ(カムカバーの後ろのパイプ)〜バイパス・コントロール・バルブの低圧室
 J170バキューム・パイプ〜レゾネーター
 K170バキューム・パイプ〜レゾネーター
 L270インレット・パイプ〜バキューム・パイプ   バイパス・コントロール・バルブの下
 M320インレット・パイプ〜バキューム・パイプ   バイパス・コントロール・バルブの下
 N120バキューム・パイプ〜バイパス・コントロール・バルブの高圧室
 O210インテーク・マニホールド〜プレッシャー・レギュレーター
 P 603ウェイ(14960A) 〜バキューム・チューブ
 Q 80バイパス・コントロール・ソレノイド(14958V)のC〜3ウェイ(14960A)
 R160バイパス・コントロール・ソレノイド(14958V)のB〜バキューム・パイプ
 S190バイパス・コントロール・ソレノイド(14958V)のA〜バキューム・パイプ
(21)350バキューム・コントロール・ギャラリー(スインガー左一番上)〜3ウェイ(14960A)
(22)310バキューム・コントロール・ギャラリー(スインガー左上から二番目)〜バキューム・タンク・ソレノイド(14956U)のA
(23)200バキューム・コントロール・ギャラリー(スインガー右下)〜バキューム・パイプ
(24)200バキューム・コントロール・ギャラリー(スインガーの左一番下)〜バキューム・パイプ  やや太いホース
(25)190バキューム・コントロール・ギャラリー(スインガー左上から三番目)〜インテーク・マニホールド・コレクター
(26) 70チェックバルブ(14958M)〜3ウェイ(14960M)
(27) 50バキューム・タンク(22370)〜チェック・バルブ(14958M)
(28)270バキューム・タンク(22370)〜バキューム・コントロール・ギャラリー(スインガー左上から二番目)
SC@170  スーパーチャージャーブローバイ(3ウェイ〜レゾネーター)
SCA240  スーパーチャージャーブローバイ〜3ウェイ
SCB540  スーパーチャージャーブローバイ〜3ウェイ

上の表のスインガーというのはエンジンを吊り上げるステー(10005)で、オイルキャップの直後にある。この両側にホースの接続部(ギャラリー) がある。
表中のバキューム・パイプというのは金属製のパイプでスロットル・チャンバーの前後に数か所ついており、ホースとホ−スの間を繋ぐパイプである。
5番のホース(22320H)にはオリフィス(空気を絞る金具)が入っているので、忘れずに古いホースから取り出して新しいホースに装着すること。
このオリフィスが無いと、アイドルが不安定になったりすることがある。ホースの外観からはほとんどわからないが、ホースを押すと硬い部分があり、そこにオリフィスが入っている。ビーズくらいの小さな部品だから紛失しないように注意して扱うこと。
パキュームホースは全く交換されていなかったり、見える部分のみが交換されていることが多い。
特にエンジンとバルクヘッドの間にあるホース17番から21番のホースは熱とオイルで劣化している可能性が高い。
点検が厄介な位置にあるだけに点検されずに劣化し、これが原因で不調になっているスーパーターボが多いので、厄介な点検/交換だがチャレンジしてみる価値はある。
他に11番、12番、16番、23番、24番ホースも要注意である。
ホースの劣化は多くの場合、挿入部分のヒビ割れであり、ここからバキューム(あるいは正圧)が漏れている可能性がある。
酷い場合はホースの途中で割れている場合もある。
交換用ホースとしては汎用品でよい。合成ゴム製のものとシリコン製のものがある。
狭い部分で作業をするし、しかも交換する場合は古いホースは無理やりに引っ張っても良いが、取り外しは容易にできても、取り付けに苦労する。先が長くてホースをくわえる形状になった特殊なペンチもあるが、簡単にやるには以下の方法を推奨する。
直径1〜2ミリくらいのしっかりした針金(クリーニングのハンガーが良い)を準備して、嵌めようとするホースの長さより20センチほど長くカットしておく。その針金にホースを通す。接続しようとしているパイプに針金の先端を挿入し、針金を持ってホースをシゴクようにしてホースの先端がパイプに被さって接続されるようにする。針金を引っ張らないように保持し、ホースだけをを押し込むようにシゴクのがコツである。事前にホースの先端にシリコーンスプレーを吹き付けておくと滑りやすくスムースに接続できる。
この方法で手の届かない部位にホースを接続できるが、シリコン製の柔らかなホースより合成ゴムのやや硬いホースの方が作業がしやすいかも知れない。
バキュームホースは、材質により価格が異なり、高いものではシリコン製の1メートル1000円から安いものでは合成ゴム製で200円程度までいろいろある。シリコンは柔らかく弾力性が強い。
純正のバキュームホース(B2318-N3301)は合成ゴム製で、実測で内径3.5ミリ・外径7.5ミリである。
合成ゴムの社外品では内径4ミリ・外径8ミリ、シリコンで内径3.5ミリ・外径8.6ミリなどがある。
内径の大きいホースは外れやすからといって余りに内径の小さいホースを無理に差し込むとホースの端が経年変化で割れやすいので注意が必要。
ホースの端をタイラップで固定しておくと安心である。

主要なパーツの部品番号を掲載しておく。部品の価格は2002年現在のものであり、その後変更になっている可能性もあるし、欠品のものもある。

部品番号後対応部番部品名称特記事項価格
14956-27M1014956Wバルブ アツセンブリ-, ソレノイド バキューム・コントロール・ソレノイド6580
14958-V670014958Mバルブ アツセンブリ-, バキユ-ム デイレイチェック・バルブ1000
14956-27M0014956Uバルブ アツセンブリ-, ソレノイド バキューム・タンク・ソレノイド6580
14956-27M1014956Vバルブ アツセンブリ-, ソレノイドバイパス・コントロール・ソレノイド6580
14760-21B0114955Mバルブ アツセンブリ-, バキユ-ムバキューム・コントロール・バルブ7980
B2318-N330122310Aホ-ス, バキユ-ム コントロ-ル細いホース L=5000 切断して使用2690
22320-21B0122320Hホ-ス, バキユ-ム コントロ-ル B L=200 #100 オリフィス入り 560
A4911-B820022320Mホ-ス, バキユ-ム コントロ-ル太いホース L=5000 切断して使用 4320

部品番号からわかるように、バキューム・コントロール・ソレノイドとバイパス・コントロール・ソレノイドは同じ部品のようだが、それにしては後対応部番が異なる理由は不明である。


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