欧州で発表になっているがフォルクスワーゲンがTSiというエンジンを発表した。
1400ccでターボチャージャーとスーパーチャージャーが装備されているツインチャージのエンジンだ。
ゴルフGT用とトゥーラン用のふたつのチューンがある。
スーパーチャージャーというのは昔は戦闘機などに取り付けて、離陸時や空中戦などでパワーが必要なときに使われていた。多くは機械的に回転させて吸入気を圧縮するが、電動式のものもある。
スーパーチャージャーというと空冷のフォルクスワーゲン用に市販されたジャドソン製のものが昔から有名である。最近はベンツに装備されたモデルが多く、コンプレッサーという名称が使われている。
確かに空気を圧縮する補機だからコンプレッサーに違い無いがエンジンに空気を押し込むというメカニズムの観点からの命名としてはスーパーチャージャーの方がふさわしいと思っている。
で、TSiだが、メカニズムは全くマーチ・スーパーターボのコピーのような感じで、スーパーチャージャーとターボチャージャーが直列につながっているシステムである。
違いはマーチの場合はターボを通ってからスーパーチャージャーを通ってシリンダーに入るのに対して、TSiは先にスーパーチャージャーを通りそれからターボに行くことと、エンジンがマーチはSOHCで間接噴射に対してTSiはDOHCで最近流行の直噴になっていることだ。
ガソリンを直接シリンダーに吹き込むことにより気化熱により冷却効果が期待できるので、圧縮比を高くすることができ、マーチの7.7に対して、TSiは何と10という圧縮比である。
パワーもマーチの110馬力/6400回転に対してTSi(ゴルフGT)は170/6000、トルクは13.3kgm/4800に対して24.5/1750-4500である。車重は770に対して1271キロである。
スーパーチャージャーはローターの形状に違いもあるが、基本的にはどちらもルーツタイプである。
マーチもTSiもスーパーチャージャーが低回転から中回転領域を担当し、高回転領域ではターボだけの作動にするというのは同じ考え方である。
インタークーラーはどこに装備されているかわからないが装着されているとのことである。
馬力あたり車重を比較すると、マーチ・スーパーターボは7Kg/馬力に対してTSiは7.5Kg/馬力であり、キビキビ感ではマーチ・スーパーターボの方が勝っているのではないかと思う。
ダブル過給という複雑なメカニズムを18年以上も前に市販車に適用した日産の先進性には敬意を表すべきであると思う。
比較項目 マーチ・スーパーターボ VW TSi(ゴルフGT) 排気量 930cc 1390cc ボア・ストローク 66.0×68.0 76.5×75.6 圧縮比 7.7 10 最大馬力 110馬力/6400回転 170馬力/6000回転 最大トルク 13.3kgm/4800回転 24.5kgm/1750-4500回転 最大回転数 7000回転 7000回転 スーパーチャージャー増速度 1.38 1.5 最大過給圧(推定) 約1気圧 約1.5気圧 車重 770Kg 1271Kg 馬力あたりの車重 7Kg/馬力 7.5Kg/馬力
半年前にこのように記載したが、やはり期待(?)したように日本で「ゴルフGT TSi」を2月6日に発売するとフォルクスワーゲンが公表した。
昨年聞いたときには日本で発売する予定がないと言っていたのだが、ディーラーやメーカーに問い合わせてもなかなか本当のことを答えてくれないというのが普通らしい。(苦笑)
プレスリリースでは「世界初の直噴ツインチャージャーエンジンを搭載」と謳い、二つの過給機の連携として、ツインチャージャーのメカニズムの難しさを滔々と説明しているが、確かに直噴エンジンでは世界初であるものの、ツインチャージャーは20年近く前の1988年にマーチに搭載されているので目新しいものではないことを知るべきである。
ミッションはマニュアルはなくて、6速DSGというオートマチックトランスミッションのみらしい。
スポーツサスペンションと、225/45R17の高性能ロープロファイルタイヤを採用。ステアリングから手を離さずに変速が可能なパドルシフト
など気を引きそうな装備がついて3,050,000円(税込み)という価格設定は意外だった。
マーチ・スーパーターボにもますます関心が高まるかも。
急に旧車王国のこのページのアクセス数が増加したのは、ゴルフGT TSiに関心を持つ人がアクセスしているためらしい。
(2007.1.20)
●コメントなどはこちらへメールでお寄せ下さい。
スパムメール防止のために全角文字でメールアドレスを記載してありますので、半角で入力しなおしてくださるようお願いします。