マーチ・スーパーターボのアイドル調整の仕方


マーチ・スーパーターボのアイドルアップについて「整備マニュアル」に記載された内容に基づき要点をまとめました。

■アイドルアップのメカニズム

アイドル回転制御システム
IAAユニットに設けたアイドルアップソレノイド及びFICDソレノイドとエアレギュレーターにより、エアコン負荷、各種電気負荷、エンジンの暖気状態・運転状態に応じてスロットルバルブ全閉時の吸入空気量を制御します。

●アイドルアップソレノイドの作動条件
リヤデフォッガースイッチがONとなったとき。
ライトスイッチがONとなったとき。
ラジエーターファンスイッチがONとなったとき。
バッテリー電圧が12V以下になったとき約4分間アイドルアップします。
ブロアモーターファンスイッチがONとなったとき。

●FICDソレノイドの作動条件
エアコンスイッチがONとなったとき。

IAAユニットはECCSのすぐ前にあるアルミのブロックで車の右側から見るとゴムの蓋がしてあり、これを外すと中に調整ネジが見えます。画像では真ん中の1個だけゴムの蓋が無い状態です。実際にはゴムの蓋は全部無くなっている可能性もあります)

車の右側からエンジンルームを見て、一番左がFICDアジャストスクリューで、ゴムの蓋を外すとFという小さな刻印があります。次に楕円の穴があります。(画像では楕円の穴はケーブルの陰になっており見えません)。楕円の穴の右側(つまり3個あるうち真ん中の調整ネジ)がアイドルアップアジャストスクリューです(画像では穴の奥に調整ネジの一部分が見えます)。一番右側(つまり車の前側)がアイドルアジャストスクリューです。(紛らわしい名称ですね) アイドルアジャストスクリューには小さくSという刻印があります。

FICDアジャストスクリューとアイドルアップアジャストスクリューはいずれも弛めるとマニフォールドに流入する混合気が増えて、同時にソレノイドを作動させ回転が上がります。

■アイドル調整のやりかた

まず最初にFICDアジャストスクリュー(左側)とアイドルアップアジャストスクリュー(真ん中のスクリュー)を軽く閉めこんでおきます。

無負荷時でアイドリングが750回転になるようにアイドルアジャストスクリュー(右側)を調整します。

エアコンをONにした状態でアイドリングが標準の750回転から約950回転に上がるようにFICDアジャストスクリュー(左側)を調整します。

電気的負荷がかかった状態(つまりヘッドライトを点灯したり、リヤの熱線のスイッチを入れたような状態)でアイドル回転が約150回転上昇するように真ん中のアイドルアップアジャストスクリューを調整します。

一番右側のアイドルアジャストスクリューはマニュアルによると「スロットルバルブ及びソレノイドがアイドル状態において吸入空気及び補助空気量の分担に経時変化が生じた場合にアイドルアジャストスクリューにより分担率を修正します」、と記載されています。

マニュアルの記載はわかりにくい表現ですが、要するにエアコンや電気負荷の無い状態にしておき、アイドルアジャストスクリュー(右側)により無負荷時のアイドリング回転を約750回転に調整します。そして、エアコンの負荷をかけて約950回転にアイドリングがあがるようFICDアジャストスクリュー(左側)を調整します。次にエアコンを切った状態で電気的負荷をかけて無負荷時に比べて回転が約150回転上昇、つまり、アイドリング回転数が約900回転になるように真ん中のアイドルアップアジャストスクリューを調整します。

調整がうまく働かない場合は以下の可能性があります。
@FICDアジャストスクリューまたはアイドルアップアジャストスクリューが開き過ぎている。
Aアジャストスクリューの内部が汚れている。特にアイドルアップアジャストスクリューが汚れている場合があるので、潤滑スプレーを吹きかけながらゆっくりとアジャストスクリューを緩めて取り外し、アジャストスクリューと内部をウエスで拭う。
Bソレノイドが不良の可能性。アジャストスクリューを弛めるとマニフォールドに混合気が多く流入するので回転が上がりますが、それだけではなく、ソレノイドがONになってコンピューターに信号を送る仕組みになっているので、ソレノイドの点検も必要です。



●コメントなどはこちらへメールでお寄せ下さい。
スパムメール防止のために全角文字でメールアドレスを記載してありますので、半角で入力しなおしてくださるようお願いします。

トップページへ戻る