ポルシェ911のドアミラーの分解


ポルシェのドアミラーの分解をする前に基本的な構造を理解しておくと分解しやすい。
ポルシェ911の鏡にはヒーターが組み込まれており、鏡はヒーターのついたバックプレートに接着されている。
バックプレートは直径9センチほどの円形のアダプターでパワーミラーの駆動部に固定されている。
アダプターは突起がある円盤で、これがミラーの駆動部に蓋をするように合わさり、アダプターの周囲の固定用のリング(直径9センチ)を回すことで固定されるような構造になっている。固定用のリングが回転するのはわずかに8ミリである。
リングの下にはドライバーが掛かるような引っ掛かる窪みが4箇所ある。

まずミラーの一番下を押し込むか、パワーミラーを操作して下端を一番奥の位置にする。
サイドミラー枠の下に楕円形の孔があるので、ここから幅5ミリ以下のマイナスドライバー差し込む。
ミラーを奥に押し付けながらドライバーの先をミラー固定リングの下の突起に当てる。
なかなか位置がつかみにくいが、ミラーの隙間や、下の孔から懐中電灯で照らして突起の位置を見つけておく。


鏡の取り外しは、ドライバーの先を突起に当て、下の孔を支点にして左にコジる。つまり、ドライバーの柄を左に振る。鏡も一緒に左に傾き、その後リングが右に回転する手ごたえがある。リングが回転したことを確認してから鏡を前面に軽くコジると外れてくる。このときに鏡を落とさないように注意。軽くコジっても外れないとはには固定リングが十分回転していないので、固定リングをしっかりと回転させる。
鏡のバックプレートにはヒーター用の端子が2個ついているのでそれを引っ張って取り外す。
この状態で真中の丸いハウジング(直径約8センチ)にミラー駆動用のモーターが2個入っているのが見える。

モーターのみを取り外して交換もできる。駆動用のギヤが破損していることもある。
その両側に計3個の8ミリのボルトがあり、ミラーケースにこの3個のボルトでミラー枠と駆動部が固定されている。
これを外すと、駆動部に電源を供給するコネクターがある。コネクターはスポンジでカバーされている。
ときどきミラーの首がグラグラする場合があるが、そのときにはミラーのステーの下のボルトを弛めてサイドミラーをそっくり取り外し、トリプルスクエアで締めなおす。このときにケーブルが邪魔をするので、適当な部分でケーブルを切断し、締め付け後ギボシ(擬宝珠)端子6個で接続しなおす。
最後にパックプレートと一緒に鏡を装着する。
固定リングの位置が取り外しの位置にあること(突起が見える状態にする)を確認し、ミラー駆動部の孔にぴったりと嵌める。
その後ミラー枠の下の孔からマイナスドライバーを差しこみ、固定リングの突起にドライバーを当て、孔を支点にして右にコジる。つまり、ドライバーの柄を右に振る。鏡も一緒に右に傾き、その後リングが左に回転する手ごたえがある。
鏡面がしっかりと固定されたことを確認する。

なお、(株)名古屋マガジンの911 Maintenance Bookの81ページには鏡面をバックプレートから無理やりに剥がすような写真が掲載されているが、これは83年までのモデルであり、84年以降のモデルでは接着部分を無理やりに剥がす必要はない。


●コメントなどはこちらへメールでお寄せ下さい。
スパムメール防止のために全角文字でメールアドレスを記載してありますので、半角で入力しなおしてくださるようお願いします。

トップページへ戻る