フロント ベアリングの交換


●フロントハブの取り外し方
マニュアルに記載のある方法
ホイールを外す。
ブレーキディスクセンサーのコネクターを外す。
ブレーキパッドを外し、キャリパーを固定しているボルト2本を外す。
プレーキホースとパイプを固定しているナット(11ミリ)をフレアナットレンチまたはクロウフットレンチで弛めてブレーキパイプを外す。
ブレーキパイプを弛める前にブレーキフルードの漏れを最小にするためにブレーキフルードのタンクの上のキャップを外し、サランラップを挟んでからキャップを締めるとか、何らかの方法でブレーキフルードの漏れを少なくするようにしておく。
ブレーキパイプを弛めるとフルードが漏れてくるがホース側はメスなので、事前に直径1センチほどのゴム栓を準備しておいてパイプを取り外したときに素早くネジ込んで漏れを止めると良い。
ゴム栓が無い場合は、ブレーキホースのボディ側のブレーキパイプのネジを緩めてホースを取り外し、ボディ側のブレーキパイプにホースの切れ端で作った栓をしてもよい。
ブレーキホースを外すとブレーキフルードは漏れるし、あとでエアー抜きもしなければならないので面倒であるが、ブレーキホースの端とキャリパーの間はS字型の銅のパイプでつながれているので、ブレーキパイプを取り外さずに、ブレーキパイプを多少曲げることになるがキャリパーをわずかに外側にズラして作業する方法もある。この場合はなるべく銅管に負担を掛けないように上から針金でキャリパーを吊り下げてから作業する。

グリスキャップ(ハブキャップ)の周囲の膨らみ部分に小型ハンマーか鉄棒を当てて、ハブを回しながら、別のハンマーで軽く丁寧に叩いてハブキャップを外す。
クランプナット(センター固定ナット)をロックしているヘックスボルトを緩める。
固定ナットとワッシャー、アウターベアリングを外す。
アウターベアリングを先に取り外すことができない場合はハブと一緒に取り外しても良いが、そのときにはコロンとアウターベアンリグ(画像の青い部分)が落ちてくるので、ハブのセンターをウエスで押さえるかガムテープで固定してからディスクローターを引っ張ってハブを取り外す。
ハブのインナー側にはオイルシール(画像のピンクの部分)が嵌っている。
全部プラスチックで出来たオイルシールはドライバーなどでコジて簡単に外れるが、金属のワクのあるオイルシールは容易に外れない。
大型ドライバーやバールでコジても外れない場合が多い。コジるときに当て物をしてもハブの縁にキズや凹みが出来る恐れがある。そのようなときはハブの中に鉄棒を入れベアリングのインナーレースの内側の縁に当てて軽くたたき出すとベアリングとともにオイルシールが外れる。この方法をとるときには決してベアリングの外側、つまりベアリングユニットを叩かないようにすること。
グリースを拭い、ブレーキクリーナーなどで綺麗にする。
今後の作業を容易にするためにブレーキローターとハブを分離する。
ベアリングを取り外す前にベアンリグのアウターレース(画像の黄緑色の部分)の嵌っている位置を確認するためにハブの縁からアウターレースまでの距離を測定しておく。ハブの縁のキズや凹みのために多少のバラツキはあるがインナーベアリングのアウターレースの場合15.5ミリ前後、アウターも測定する場所により多少違うであろうが18ミリ程度で、だいたいバラつきは±0.2ミリ程度である。
ハブからアウターレース(画像の黄緑色の部分)を外すのはコツが必要で、まずバーナーでハブを加熱して温める。
オイルが焦げてうっすらと煙があがる程度まで加熱してからハブのセンターに木片を当てておき、反対側からしっかりした鉄棒またはタガネを入れてやや大きめのハンマーで叩いてアウターレースを外す。反対側に木片を当てておかないとハブの端にキズがつく。
叩くときにはしっかり叩いて力が伝わるようにしないといけない。中途半端な叩き方ではアウターレースが抜けない。 アウターレースを抜き取るときに細い棒を入れて叩くと途中で力が逃げてなかなか外れないので、太めの鉄棒を入れて大きめのハンマーで少しずつ叩くとレースが外れやすい。
年式により叩きやすいように2箇所切り欠きのあるハブもあるが、古い年式のハブではアウターレースを叩くのはやや困難である。傾かないで平行に抜けるように均等に叩いてアウターレースを抜き取る。インナーのアウターレースとアウターのアウターレースを抜き取る。
バーナーで焼かないでも無理やり抜き取ることも可能だがやはり焼いてハブを膨張させた方が抜き取りやすい。

インナーベアリングとアウターベアリングのアウターレースを観察する。
アウターレースがムラなく輝いていればよいが、スジがついていたり、部分的に変色しているような場合は交換が必要である。

画像のように部分的にうっすらとローラーの痕らしいキズがついていても回転させたときにはゴリゴリ感を感じるのでほんの些細なキズがあってもベアリングは交換しなければならない。交換はセットで交換するものであり、インナーレースとアウターレースを違うメーカーの品と混用してはならない。
インナーレースにはテーパーローラーがついているが、テーパーローラーの異常をチェックする。アウターレースにキズがある場合は、テーパーローラーにもキズがあり、直接観察はできないが当然ながらインナーレースの表面にもキズがある。
この状態で再度クリーナーでオイルを取り除き、ハブに異常がないこととアウターレースが嵌る場所に汚れがないことを確認してから、新しいベアリングのアウターレースを圧入する準備をする。
まず古いアウターレースにサンダーなどで切り込みを入れてCの形にする。
これは古いアウターレースを当て物にして新しいアウターレースを圧入するときに古いアウターレースも一緒に圧入されてしまって外れなくなるのを防止するためである。
新しいベアリングであるが、アウターベアリング(小)はSKF製で箱の表示は999-059-065-00-M92 現物の表示はLM11949/LM11910
NTNのカタログを見るとインチ系でLM11900(LM11949/LM11910)という品番である。
規格値 真中の穴25.400 最大外径50.005 最大厚み13.495 レースの奥行き9.525
インナーベアリング(大)はNTN製で外箱の表示は OEM supplier 999-059-098-00-M9296で  4T-CR-0678PX1と表示がある。
NTNのカタログを見るとインチ系でLM67000(LM67048/LM67010)という品番である。
規格値 真中の穴31.750 最大外径59.131 最大厚み15.075 レースの奥行き11.811

ハブの内側のレースが当たる部分にキズがある場合は表面をサンドペーバーで修正。
ハブは冷えてしまっているので、バーナーでハブを暖めてからプレスに載せ、レースを乗せて、古いレースを当ててその上に当て物をしてからプレスを掛ける。
斜めに入ってしまった場合は、一度レースを抜いてから再度慎重に作業をする。どうしてもレースが斜めに入りそうになる場合は、入りの悪い部分にプレスを掛けて修正しながら圧入する。まっすぐに入っていることを確認し最後に100キロの圧力を掛ける。
ハブの縁からレースまでの距離を測定する。15.4から15.8だった。しっかり定位置まで嵌っていることになる。
グリースは昔から所有しているシェルのリチウムにするか、それともモリブデンにするか悩んだ。
モリブデンはどうも耐水性に問題があるような気がしたが、所有している2種類のモリブデングリースのうちワコーズ(WAKO’S)ルブコールグリースMO LCG-MO(多目的モリブデングリース)があるのでそれを使用した。
オイルシールは記号が45×62×10
内径45 外径62 厚み10
ダストリップのある方が外側
型番の例 AE2651


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